ご近所の既存不適格建築物

ご近所の家で建替えの計画を聞きました。

昭和の半ばに建ったその家も、例によって既存不適格建築物。

問題は接道ではなく、土地の場所。背後に崖を背負っています。

 

崖の近くに家を建てる場合、

 ①崖から一定の距離をとる

 ②擁壁を造る

 ③傾斜角を30度以下に造成する

いずれかが必要になります。

10年ほど前にできた決まり(がけ条例)でそうなっています。

困ったことに、①を選ぶには敷地の面積が足りず、崖はご自分の土地じゃないので②と③は難しい、とのことでした。

 

問題の崖を見せてもらいました。

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急な崖ですが、この辺は地盤がしっかりしているので、土砂崩れの話は聞きません。そう、この辺ではよく見る風景です。

それより、

「大雪が降ったとき、上の竹が倒れてきて屋根の瓦が壊れた」

というのが迷惑ですね。土地の持ち主になんとかしてもらわないと。

って、うちの崖ですか、ごめんなさい。

 

この崖、下から見たのは初めてです。上から見たこともなかったです。93番地のすぐそこ。ですが、子ども心に、近づいてはいけない場所と記憶していました。近づいてはいけない理由を、よそのお宅の庭だからと思い込んでいました。

庭、ではないですね。

クライムダウンを試みたけど、コンフォートサンダルを壊して挫折。後日、頑丈な靴と手袋、ロープ、カナビラを用意して挑むこととします。

 

とにかく、既存不適格建築物を抱えて困ってる、という事情はよーく分かるので、崖下のお宅には、

 ③傾斜角を30度以下に造成する

で対処いただくことにしました。

 

ところで、30度の根拠ですが、これ、砂の「安息角」だそうです。乾いた砂を同じ場所に静かに落としてやると、角度30度の山になる。砂時計の砂も、鳥取砂丘の斜面も30度。

30度って、三角定規で見ると小さい角度ですが、立ってみると急です。

ちなみに、雪の安息角は38度で、スキージャンプ台は35度に設計されているそうです。これは(スキーを穿いてなくても)普通に立てない角度ですよ。

 

件の崖、ものすごく急に感じたけど、どのくらいあるのでしょう?

今度測定してみます。

農地法第4条・5条[農地転用]について考える

農地を農地じゃなくする方法があります。

農地を農地じゃなくすることを農地転用といいます。

 

農地法第4条・5条

農地転用をするには、事前に知事の許可を受ける(市街化調整区域)か、

農業委員会に届け出る(市街化区域)

必要があります。

自分が使うための農地転用は第4条許可(届出)、

売買・賃貸借のための転用は第5条許可(届出)、

無断でやってはいけません。

 

でも、これ、うっかりやっちゃいそうですよ。

家の前のかぼちゃ畑を潰してガレージ作って、軽トラ置くのはいいけど、乗用車置いたらだめだとか、よく判らないじゃないですか。RVだったらどうなんですか。

 

まあ、かぼちゃ畑潰してガレージ作って、乗用車置いて咎められたら、乗用車どかして軽トラ置けばいいと思います。軽トラの他にも、鍬とか、ノコギリとか、干草とか、堆肥桶とか、堆肥桶を作るための作業台とか、置けばいいと思います。

 

なぜこんな心配をしているのかというと、私がやっちゃいそうだからです。やっちゃったときの罰則が厳しいからです。

・許可を得ることなく農地を農地以外のものにする

・許可を得ることなく農地の譲渡・賃貸等をする

・虚偽の申請によって許可を得る

ことに対する罰則は、

個人の場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、

法人の場合、1億円以下の罰金、

って、重罪っぽいですよ。

 

違反転用の罰則、平成21年の法改正で強化されました。

法人の罰金が300万円から1億円にUP(個人は据え置き)。

いったい何があったんですか?

 

農地改良(土盛り・埋め立て)を「無料で行う」「謝礼を払う」「木の伐採抜根もする」「手続きはすべて任せてくれ」などと言い寄り、農地から「勝手に既存の優良土を売却する」「産業廃棄物や建設残土、ゴミなど埋める」「山と積む」「そのまま放置する」といった事例が起きています。

http://www.city.tsurugashima.lg.jp/page/page000921.html

↑は埼玉県鶴ヶ島市のhpですが、同じ手口の事件が全国で起きています。

 

「私は北関東の土建屋です。埼玉の山林を造成して宅地開発をしました。山を平らにしたのでたくさん土が出ました。その土の置き場所に困っています。山林の土なので落ち葉をたくさん含んでいます。1年も寝かせたら良い腐葉土堆肥になります。腐葉土堆肥は高く売れるので捨ててしまうのは惜しいのですが、発酵させる間の置き場がありません。こちらに置かせてもらえませんか?拝見したところ、ここの土はかなり疲れてますね。でも大丈夫、ちょっと深めに掘り込んで、天地返しをしてやって、腐葉土堆肥を鋤入れて、通気と水捌けと肥料持ちを良くしてやれば、すばらしい収量の畑に変貌しますよ。運び込んだ土は、この土地の改良に必要な分を使って、残りを商品にします。この土地をお借りできたら、謝礼を払います。木の伐採抜根もします。手続きはすべていたします。埼玉の後は、群馬の山林の造成があるので、この先も土はたくさん出るので、3年間の一時転用でどうですか?」

と、こんな口上なら、私でも思いつきます。今思いつきました。

廃棄物の処分には高額な経費が掛かるので、これをまともな値段で請け負って、そのへんの農地に埋めたり積んだりしてすませば大儲けです。

なぜ農地かって?

広くて平らだからです。広くて平らな土地を、売ることも、貸すことも、耕すこともできずに持て余している所有者がたくさんいるからです。

持て余している土地なので、うっかり貸してしまうのです。

うっかり貸して、埋めたり積んだりされたときの被害は甚大です。

廃棄物から染み出た揮発性有機化合物や重金属が土を汚染したら、その土地はだめになります。

地下水を汚染したら、周辺の一帯に被害が及びます。

こんな犯罪のテンプレートができてしまったら、罰則強化したくなりますね。

 

で、農地転用の基準も厳格になって、許可を取るのも難しくなりました。いえ、もとから難しかったんですけれど。更に難かしくなりました。

わけですが、

そこをがんばって、要件を整えて、書類をいっぱい揃えて、測量だの地盤調査だのもして、お金も使って、何度も役所に足を運んで、なんとか許可を取ったとしても、

ここ、市街化調整区域ですから。

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家は建てられません。事務所も、倉庫もだめです。

車は置けます。乗用車30台置いていいです。

資材置場、テニスコートも可。

それと、畑がつくれます。

耕すのは「すべて」じゃなくていいです。「常時」じゃなくていいです。好きなときに、好きなだけ、耕せる畑です。

 

買いたい人、いますか?

価格は、すみません、農地のときの70倍になります。

農地法第3条[農地取得要件]について考える

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この土地、売っても幾らにもならないと書きました。昨年度固定資産税評価額は238,524円。学生の冬休み春休みバイトで買える金額です。

買えませんけど。

 

ここは農地です。普通の学生には買えません。

私にも買えません。

 

農地法第3条

農地の売買・譲渡・貸借には農地法第3条に基づく許可が必要です。

農地法第3条による農地取得の要件として、

・取得農地を含むすべてを耕作すること

・取得後の農作業に常時従事すること

・最低経営規模(北海道2ha,都府県50a)以上になること

・取得農地を効率的に利用できる区域に住居を有していること

が定められています。

 

誰かがこの土地を買いたいと言ってきても、要件に合う人でなければ売れません。要件に合う人、つまり、

「50a以上の農地」を、「すべて」「常時」耕作するつもりがあって、「近くに住居を持つ」人は、まず自分の農地を持っています。たぶん売るほど持っています。この土地を買いたいとか言ってきません。

 

さて、ここで問題です。

農地を買い受ける、譲り受ける、借り受けることができるのは、最低経営規模以上の農地をすべて、常時、耕作できる人に限られます。

のに、なぜ、耕作放棄地があるのでしょう?

 

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 httpwww5.cao.go.jpkeizai-shimonkaigispecial2030tf281114shiryou1_2.pdf

このグラフ、黄色部分のラベルがおかしいです。「その他」って。

いえ、意味はわかります。

「土地持ち非農家」に対する「その他」だから、「土地持ちじゃない」または「非農家じゃない」のどちらかで、耕作放棄地を持っているのだから、「土地持ちじゃない」じゃなくて「非農家じゃない」の方、つまり「土地持ち農家」ということですね。

 長いつっこみをしてしまいました。

 要するに、黄色い部分は所有農地のすべては耕作していない農家。

「この齢まで畑やってきたけど、最近は体もきついし、後継ぎいないし、今は半分しか耕してないよ」のパターン。

でもって、赤い部分は土地持ち非農家。売買によらず、譲渡によらず、農地を所有する人は、

「田舎の土地を相続したんで、売ってマンションのローンに充てようと思ったけど、売れないんだな、農地って」のパターン。

 

農地法が最低経営規模を決めているのは、農地を細切れにしたくないからです。なるべく集約して、大型耕作機械で効率よく耕作してほしいからです。

こんなふうに。 

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日本の農地がどれだけ小さいかというと、こんな感じです。

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でもこれ、比べちゃいけないかもですよ。

オーストラリアの3,423.8haって、千代田区・中央区・文京区を合わせたより大きいです。土地の所有者が知らないうちに、1万人くらい住み着いて町を作ってた、なんてこと、起きそうな広さです。それを1戸で耕作とか、びっくりです。

 

びっくりついでに、世界地理、いきます。

いろんな国の川の勾配のグラフです。

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日本の川、世界水準を超えています。

日本の国土が世界水準を超えているからです。

こういう国土で、耕作機械のない昔から、田や畑が作られてきたんです。

 

ここ(右下)は古くからある田です。

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うちの田ではありませんが、この田の記録がうちにあります。

おそらくは南北朝の時代に拓かれた田で、延宝時代の検地帳の評価は「下田」「下々田」となっています。

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日本では、ろくに収穫のない土地を、手が及ぶ限り拓いて田にした時代がありました。その田が、500年たった今も、地目は田のまま残っています。

耕作はされていません

 

さて、こちらの写真のタイトルは「日本の原風景を訪ねて」。

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出典は農林水産省のhpです。国の重要文化的景観だそうです。

http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1106/photoessay.html

 

農地の大規模集約化、高度機械化を図りながら、里山の原風景も守りたい。農林水産省も苦しいです。

 

ところで、最低経営規模(北海道2ha,都府県50a)には緩和の特例があって、判りやすい資料を作ってくれた宮城県七ヶ浜町は10aです。

aldertree.hatenablog.com

うんと狭いところでは、八丈島全域と佐渡島の一部が1a。

島以外では、空き家とセットで1aから農地が買える「空き家付き農地バンク」制度があります。平成24年島根県雲南市が始めた取り組みで、最近各地に広がってきています。

これ、ちょっと買ってみたいって思いません?

不労所得と埋設物と里山のコモンセンス

空き地に自販機を置かせてほしいという話がありました。借地料を払いますからと。

借地料!

ステキな言葉の響きに惹かれて、見に行きました。

ここです。

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おかしいですね、道がありますよ。

道のない場所に家を建てようと、苦労してる人がいたようですが。

 

みすぼらしい道です。路側帯のペイントが剥げてます。

でも、路側帯があるんです。そう、公道です。

そして、隣は水道局の用地。

というのは関係ないけど、水道が来ています。

水道の引き込み費用は距離に応じてかかります。近くに管がないと高くなります。93番地で見積もったら100万円超えました。

その管が、ここにあります。

道路に埋まっています。

 

そのうえ、農業集落排水

 

農業集落排水、聞いたことありますか?

こういうのです。

http://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/nn/n_nouson/syuhai/

この地域は下水がないので、こういうのを使います。地元の人は「下水」と呼んでいて、使い勝手に違いはないようです。

 

集落排水の接続費用は距離に応じて高くなります。近くに桝がないと高くなります。93番地で見積ったら200万円でした。

その桝が、ここにあります。

道路に埋まっています。

 

道路、偉いです。

上水も、下水(のようなもの)も、道路に埋まっているのです。

接道のない土地に家を建てることはできない(法律で規制されてる)けど、

接道のない土地に家を建てることはできない(お金がかかりすぎる)んです。

お金がないのに、接道のない場所に家を建てようという人は、たぶん頭が悪いんですね。勝手に苦労してるんですね。

 

話が逸れました。自販機です。断りました。

理由(私の)は、お金にならないから。

売っても幾らにもならない土地です。貸してお金になるはずがありません。

借地料?自販機の中身の商品がいくつか買えますね。

こんなとこに自販機あったら、私が買っちゃうじゃないですか。

借地料全部使っちゃって残りませんから。

 

理由(父の)は、隣に雑貨屋があるから。

祖父(父の)の代からの付き合いなので、商売のじゃまはできないと。

なるほど、祖父(父の)の代からの付き合いかもしれないけど、最近はお会いしていません。この先会う機会もないかもです。

父が自販機を断った理由を、相手が知ることもないでしょう。

 

でも、それがこの辺のコモンセンスです。

悪くないセンスです。

不法侵入と器物損壊と里山のコモンセンス

先日の写真、

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「誰かがあなたの土地に踏み込んで、竹を切り捨てていましたよ」

の報告を、所有者はさらりと聞き流してくれました。

「ああ、そう」

クヌギを切られたときは気にしていたのに、どこが違うんですか?

 

私には判らなかったけど、どうやら事情が違っていました。

 

竹は用水路を浸食していました。

言われて、確かめに行きました。なるほど。

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用水路は公益のものなので、保全しなくてはいけません。

土地の所有者が手入れを怠っていると、誰かが代わりにやってくれます。

それが里山のコモンセンスです。あるいは、この辺のコモンセンスです。

 

私がこの土地と関わるなら、この感覚を判らなくてはいけません。

 

オオクワガタを捕るためにクヌギを切ったのは、おそらく父を知らない人です。

水路を保全するために竹を切ったのは、父を知っている人でしょう。次に会ったとき、

「切らせてもらいました」

「切ってもらって助かりました」

という会話が交わされるのでしょう。会う機会があれば、です。

 

父は少し離れたところに住んでいます。

気が向くと車 f:id:aldertree:20170120220613j:plain に乗ってふらりとここを訪れるのですが、最近は母の監視が厳しく、あまり運転させてもらえません。

母はなにしろ心配性なのです。

私が車 f:id:aldertree:20170120220236j:plain を出すというと、母は心配を超えて怒り出します。

私はなにしろ運転がへたなんです。

自分で作った道なら走れます。畑の中も大丈夫。

後続車がいたり、対向車がいたり、歩行者、自転車がいるところはだめです。

東京では乗れません。田舎でもほとんど乗れません。

 

私がこの土地に住むなら、まともに運転できるようにならないといけません。

冬の日に思い出す、夏の日のきゅうり畑とその周辺

夏の日、この辺を、

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巻尺持ってウロウロしていたら、

畑で作業している人に声を掛けられました。

「○○さんですか?」

たちまち素性が割れたのは、他に訪れる人がいない場所だからです。

その方はアマチュア農家さんで、家庭菜園の収穫をしているところでした。

「ちょうどできたところだから」

ぱちんぱちん鋏を振るって、きゅうりを持たせてくれました。

おいしかったです。

「この辺に家を建てようと思います」私が言うと、

「あそこは風が強いでしょう。こっちの方がいいですね、見晴らしがすばらしい」教えてくれました。

 

ご挨拶に伺ったプロの農家さんでは、きゅうりの漬物をいただきました。

小鉢に盛られたのをぜんぶ平らげて、お代わりもちょうだいして、おみやげも持たせていただいちゃいました。

おいしかったです。

「裏の窪地を畑にしようと思います」私が言うと、

「あそこは土が難しい。野菜をつくるなら道の南沿いがいい」教えてくれました。

 

みなさん、よくご存知なんです。  

というか、私がご存じないんです。

アマチュア農家さんが勧めてくれた場所、眺望が良いのは知っています。

藪を掻き分けて登りました。Gパンを1本犠牲にしました。でも、

「あそこの夜景は最高ですね」と言われ、見たことない私はちょっと悔しかったです。

 

他にも、私がご存じないことがいっぱいあって、少しずつ調べているところです。

どこに水が引けるのか、排水経路はどうなっているのか、水質、水量、地質、地盤、重機のレンタル料、Wi-Fiの状態、消防団の詰所の場所と保有車両、

みんな、ご近所の方に教えていただきました。

破れたGパンはいて、水の滴るバッグ(用水路にはまりました)を下げて、巻尺持ってウロウロしている人物が、とても親切にしていただきました。

 

そうです、あの日、きゅうりがおいしかったのです。

そして、道が藪に覆われ、家が草に埋もれ、自動車が放置されていたのです。

HNについて

ブログを始めるのにHNが必要で、何か思いつかなくてはいけなくなりました。

こういうの、すごく苦手です。

仕事が変わったり、生活が変わったりで新しいID作るたび、2日くらい考え込みます。

あげくに、たわけた名前をつけてしまいます。

パスワードなんかうっかり作ったら忘れます。

で、aldertree、

木の名前です。和名はハンノキ。

私が家を建てるつもりの土地に、この木はありません。

 

 

この木は東京の職場にあります。

初めて見たとき、気になる木だと思いました。

広葉樹に、球果?

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のように見えますが、球果植物は裸子植物ですよ。

 

調べました。ハンノキでした。

球果のように見えるのは「球果状の果実」。苦しい呼び方です。

そんなことはいいんです。それよりも、この風景、

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「はざ木」です。

記憶の中の、故郷の風景です。

 

ハンノキは「はざ木」の木でした。

近くで見たのは初めてでした。

いつも、車窓から見る景色にありました。

覚えていたことも忘れていた木の名前、を偶然知りました。

ハンノキは私の、ちょっと特別な木になりました。

 

出勤するとき「おはようハンノキ」と声をかけます。

いえ、声は出しませんけど。

冬のハンノキはこんな姿。 

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「球果状の果実」は、季節が変わってもついています。 

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もっと調べました。

ちょっと特別な木は、かなり特別な木でした。

 

ハンノキの根にはフランキアというバクテリアが共生しています。

フランキアは空気中の窒素を固定して、植物の養分をつくります。

このため、ハンノキは養分の少ない地にも育ちます。

土砂崩れや火山噴火で裸になった地に、真っ先に生えて育つ木です。

そして、周囲の土壌を豊かに変えるのです。

 

もうひとつ、ハンノキには特技があります。

それは、水で飽和した土壌で育つこと。

例えば河辺。例えば湿原。そして水田。

このような土壌は酸素の供給が少なく、育つ樹種が限られます(根も呼吸するんです)。

でも、ハンノキは幹から根に酸素を送る機構をもっているのです。

 

ハンノキの成長は早く、払った枝は生でも燃える優秀なバイオマスです。

葉の時期は短かく、量も少ないため、明るい林をつくります。

その林にゼフィルスが生まれます。

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リスやキツツキが好んで巣をつくります。

 

 これはハンノキ、植えなくちゃいけませんね。

と、思っていたら、こんな名前になりました。