おもしろそうじゃないですか
GWのある日、設備業者さんから電話がありました。
「今日は○○町に行きますか?」
○○町は私が家を建てるつもりのところ。
「これから行きます」
「じゃあ、現地で会いましょう。10分で行きます」
って、それでは私より先に着いちゃいますよ。
この方には給・排水設備の相談をしています。いろんな人と話をして、この方に巡り会いました。地元でちゃんとした仕事をしている、良心的な業者さんです。
ちゃんとした仕事具合がすごいです。水道局の建物の設備を手掛けた方。
そして良心的の具合といったら、私がのんびり朝ごはんを食べているときに電話をくださるんです。
時間、少し遅らせてもらいました。30分後にしてもらいました。
私が家を建てたい場所、48番地。
「やっぱりここだね」
設備業者さんは言いました。
他の場所も見ていただきましたが、公道沿いの場所では、
「うちはこっちの方が儲かるけど、おもしろくない」
って。この方、おもしろがってますよ。
そう、おもしろいんです。
難しいこと、できないって思ったことが、できるようになるって。
測量に300万円かかると言われて、それでは家が建たなくなると思ったのは2か月前。
引っ越して、地元の業者さんを探して、100万円で引き受けてもらいました。
測量業者を紹介してくれた方は、やっぱりおもしろがっています。
「立ち会いの同意は全部自分でとるんだよ。業者には、とにかくお金をかけずにやってもらおう」
立ち会いの同意、苦労しました。
測量する筆が3つになって、立ち会い依頼先も増えて、そして難しい筆がありました。
所有者不在の筆。所有者がいっぱい(たぶん3桁)いる筆。競売で売られた筆。
「これ全部、立ち会いとらないとだめなんですか?」「だめです」
その全部の立ち会いに、今日見込みがつきました。できないって思ったけどできました。
測量費用100万円は予定外だけど、他でやりくりします。
給・排水設備、ふつうにやったら200万以上かかります。これを100万でやります。
手抜き工事とかじゃないですよ。土地の条件と、法律・条例・施行令をちゃんと調べて、よい方法をみつけたんです。
みつけてくれたのは市役所の下水道部の方。「これはなんとかしたいな。なんとかしよう」って。
この件はいずれ書きますね。
そう、おもしろいんです。
この場所を、
こんなふうにするのは。
「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」でレヴィンにセティの父親になってもらうとか、
「ロマンシングサガ ミンストレルソング」でエメラルドを手に入れるとか、
みたいにおもしろいです。
あ、ゲーム、好きです。
最近やってないけど、暇ができたらまたやります。
設備業者さんは筍を掘って持って行きました。
いつでもいらしてください。この山を気に入ってくださったなら。
48番地に家を建てる。
ためには、農地法5条申請をクリアしなくちゃいけませんけど。
「やっぱりここだね」
農地法5条申請、おもしろそうじゃないですか。
さて、私、どうしましょう?
こうします。
はい。おかしいです。
先の案より分筆登記する筆が増えています。
私、何を考えているんでしょう?
説明します。まずは費用。
測量にかかる費用はこの方が安いんです。
池が面倒なんです。公図に合わせて水中の境界杭を復元するそうです。
現状に合わせて公図を書き直す、なら測量必要だけど、「公図に合わせて」ということは、「今まで通り」ということで、だったら測量しなくていいんじゃ?
と思うのはしろうとで。
あの法律とか、この施行令とかがある以上、測量しないといけません。池の中にじゃぶじゃぶ入っていって境界杭を復元します。いっぱいお金がかかります。誰が見るんでしょうね?その杭。
ということで、ウシガエルが拡張した池の、拡張部分は「今まで通り」うちの土地です。「河川法第四条第一項の水系を指定する政令」によって指定された一級水系の池の、何分の一かがうちのものということになります。もしかして、そこ、私が好きに使っていいんですか?
だったら私、ガマとアヤメとスイレンを植えます。
好きだから植えるんです。でも、ガマもアヤメもスイレンも、水質を浄化する植物です。そのうえ、大気中の酸素を水底の土に運ぶことで、メタンや亜酸化窒素の発生を抑制するそうです。メタンは二酸化炭素の20倍、亜酸化窒素は300倍の温室効果をもつ温室効果ガスです。
私、よいものを好きになりました。誰かに褒めてほしいです。
ちょっと脱線しました。
山林①は池と接する部分が大きいので、立木も多いので、費用が高いんです。
畑は簡単。形はまっすぐな長方形、表面は平ら。ここは安くあがります。
で、山林②ですが、去年の夏はこんなんでした。
今はこうです。
実は、もともと、ここに家を建てるつもりだったんです。
そのつもりで準備してきたんです。分筆登記が必要と言われるまで。
山林①を考えたのは、農地をいじりたくなかったから。いじれると思わなかったから。
山林②に家を建てる場合、接道のための通路を畑に通すことになります。農地の一部を宅地に地目変更しなくてはいけません。
そう、農地法5条申請、難易度A。
首都圏のハウスメーカーはこれを嫌がりました。
私も嫌がりました。おいそれとできると思わないし。
でも、開発指導課と農業委員会と農地課に足を運んで、何度も足を運んで、測量事務所に相談して、職場の上司にも相談して、
「やってみよう」
決めました。
まあ、やってみて、だめだったときは他の方法を考えます。
問題が起きました
ここに家を建てる案、
暗礁に乗り上げました。
「山林の一部を造成して、その筆全体を宅地にすることはできない」
そうです。
聞いてませんよ、そんな話。
市役所も、ハウスメーカーも、だめとは言ってなかったです。
言われてみれば、確かにね。
山のすみっこに家を建てて、山全体を宅地にするとか、無理っぽいです。
でも、ここ、そんな広い筆じゃないです。
山林って普通は広いものでしょうけど、ちいさな山林もあるんです。
もとは一つの筆だったのを、ところどころに畑を作ったりして分けたので、小さな山林ができました。
ですから、市役所もハウスメーカーもだめとは言ってなかったです。
「だめでしょう」
言ってきたのは測量事務所の方。
「法務局の許可が下りません」
ここ、現状山林です。
木がいっぱい生えてます。こんなに生やしたままで「宅地にします」は認められないと。
では、私、どうしたらいいですか?
測量事務所の方が提示した対応策は3つ、
①造成する部分を分筆する
すごくめんどうです。そして、測量分筆登記費用がかかります。
②筆全体を造成する
すごくめんどうです。そして、伐採造成費用がかかります。それに、やりたくありません。
この筆にはスギ林があります。このスギを、私は大事に切りたいと思っています。大事に切るために、お任せしたい人がいるのですが、連絡がつきません。
連絡、つかないかもしれません。つくかもしれません。暫く待ちます。
まだ切りたくありません。
③ここに家を建てるのをやめる
簡単です。よけいな費用もかかりません。
あわててはいけません。家を建てるのをやめる、ではないです。ここに建てるのをやめる、です。
測量事務所の方が言うのは、こっちにしたら?
というもの。
やっぱり。聞かれますよね、これ。
この筆、接道してますし。整地済ですし。
ハウスメーカーにも、造成業者にも聞かれました。
「こっちにしたらどうですか?」
「嫌です」
というのが私の答え。
いったい何を考えているんですか?私。
測量事務所も、ハウスメーカーも、造成業者も、
「こっちにしたらどうですか?」
以上は言いません。お客さんですからね、私。
お客さんに向かって、「めんどうな、お金のかかるプランにこだわる理由を説明しろ」とは言いません。
なので説明、したことないのですが。
してみましょう。自分の頭を整理するためです。
ここは家を建てるのも難しい市街化調整区域ですが、街の中心部まで数kmしかありません。ふつうに車に乗れる人なら不便なく生活できます。
方向感覚がなかったり、物覚えが悪かったり、運転がものすごくへただったりする私はともかく、です。
それはともかく。
街の中心部まで数km、ふつうに運転すれば20分、のここには、ふつうに生活する人たちの家が並んでいます。「旧・住宅市街地造成法」による「旧・事業法団地」です。
そして、木々に埋もれて、廃屋がひっそり建っています。
この辺の写真です。
境界があるのが判るでしょう?
「ひっそり」の場所は、「ふつう」の場所とゆるく隔絶されています。
距離は僅かです。焚火で、ダッチオーブンで、焼いた筍を熾火に包んで「どうぞ」届けられる距離(これ、やってみたいんです。ダッチオーブン買わなくちゃ)。
距離は僅かですが、境界の内側は、その気になれば何日も、誰の目にも触れずに過ごせる場所です。穴を掘ったり、火を焚いたり、ヤギやアヒルを野放しに飼える場所です。
境界を作っているのは地形と植生です。重機を入れれば数日で取り払ってしまえる境界です。
取り払うつもりはありません。
「こっち」の筆を囲んでみました。
ここは境界の外側です。
つまり、これが理由です。
めんどうな、お金のかかるプランに、私がこだわる理由です。
さて、私、どうしたらいいでしょう?
1日1分
ずつ、日の出が早くなっています。
日の入りは、そして遅くなっています。
1日2分ずつ、日が伸びています。
5月。
毎日新しいものに会う季節。
もうじきですね。もうじき、毎日山に通えるようになります。
日が暮れる前に行って、帰って来れるようになったら。
スペアの車。名前はありません。
今日は仕事を半日休みました。
市役所とか行きました。歩いて。そう、近いんです。
昼休みで退出するところを、課長と課長補佐が束になって見送ってくれました。
「資料はコピーを取ってから行きなさい」
「しっかり話をしてくるんだよ」
市役所経由、測量事務所経由、いつもより1時間早く帰宅しました。
そして山に行きました。犬と一緒に。
犬は山が判るんです。車を停める前から降ろせとせがみます。
ドアを開けると飛び出して行きました。そして埋まりました。
5月。
毎日生まれたてのものに会う季節。
テンナンショウ。性転換する花。
シャガ、クローンで増える草。
シロヤマブキ。自生のものは絶滅危惧種。
これは自生と言えるのかな?
とにかく昔からここにあります。
父の好きな花で、父の住んだあちこちに種が撒かれています。
全部ここから採っていった種です。
「はざ木」のある地方でも、咲いているでしょうか?
咲いているといいなと思います。
車が届きました(3回目)
いえ、壊してません。まだ。
夫が置いていったんです。
なんですか、東京の駐車場が暫く使えないとかで、その辺に置かせてくれって。
置いていきました。
「この間買った車、どうせすぐに壊すだろうから、そしたら使っていいよ」
だそうです。ご親切に、どうも。
スペアの車の写真、撮り忘れました。タケノコ掘るのに忙しくて。
タケノコが出てきたんです。
すごくおいしいタケノコです。
山には3種類の竹があるのだけど、このタケノコはなんか特別で、かなり大きくなっても食べられます。ふつうはこんな小さいの、掘らないんですけどね。東京に帰る人に食べてもらわないと。
で、せっせと掘ったわけですが、けっこうな手間です。これが、1週間もすると、数え切れないほど出てきます。私が仕事(山ではなく、オフィスの方)に行ってる間に、この辺一帯一面が竹藪に変わってしまうのが心配。
「タケノコが出てきたので穫ってください」
ご近所の方に声を掛けます。
「ウドもワラビもあります。どんどん持っていってください」
できればタケノコを集中的に。
タケノコを掘っているうちに日が暮れました。
長かった連休が終わります。
よいGWでした。
GWは東京に戻るつもりでしたが
つもり、あてになりません。毎日山に通っています。
やること、たくさんありますから。
まずは道端でビニールを刈ります。
昨日紹介したアートな温室のビニールです。
できました。「風情のある廃温室」
私の好みで仕上げました。
次は藪払い。
物干竿を仕入れた時、不思議に思ったんです。
この時期に竹が倒れる理由って?
昨日、藪を払っていて分かりました。
蔓に絡まれた竹は立っていられなくなるんです。木も。
この蔓は、自分が絞め殺した木にしがみついていました。
もうずっと。何年も。
それって、不自由な生き方ですよ。
払いました。
ずっと以前に死んでいたんです。
やっと横になれました。
どうぞ、自由になってください。