6日ぶりの
山です。
昨夜東京から戻りました。
義母は持ち直しました。
医師に「覚悟してください」と言われ、覚悟していた夫は、静かにとても頑張りました。
お疲れさま、よかったね。
ということで、池に来ています。
奥の、竹藪の向こうが池です。手前は資材置場。
なんですが、排水がうまく行きません。ついにウシガエルが棲みつきました。
ここをなんとかしなくては。
と、言いつつ、鎌を手に取ります。
蔓を見ると払いたくなります。
木がこんなふうに痛めつけられるには、何か月もかかります。
払うのは3分です。
1本の枝に5種類の葉が繁っていました。
がんじがらめに絡まって、わけが分からなくなっているもの、
しがらみ、
を断つのは、端的に爽快な作業です。
この灌木の、種類とか名前とか判りません。
ここに灌木がある景色を、これまで気にとめたことはありません。
が、今日、通りすがりに目をとめて、3分で蔓を払ったので、この灌木は私の既知になりました。
そんなふうに、少しづつ、私の既知が増えていきます。
1時間分の作業を車に載せました。
今日はこのへんで帰ります。
帰京
9月から測量分筆登記の手続きに入りましたが、実測はこれからです。
工務店と打ち合わせをしましたが、見積はまだ届きません。
けっこうのんびり。
測量事務所にも、工務店にも、無理な仕事をお願いしているので、矢の催促とかはできません。
まあ、じっくりやっていただきましょう。農地転用には時間がかかります。
それに、私の都合もあります。
東京の義母の具合が良くありません。
私にできることは限られますが、山で柴刈りをしている場合じゃないので、スーツケースに荷物を詰めました。
今日、帰京します。半年ぶりの東京です。
少し妙な気分です。
こっちに来て半年、一度も東京に帰る機会をつくりませんでした。
どうしてかと考えています。
毎朝、犬を連れてその辺を歩きながら、すごく気持ちのいい風に吹かれながら、ここは自分の場所じゃないと感じています。
役所とホームセンターには詳しくなったけど、美術館とかプラネタリウムとか、この町に住んだら行ってみたいと考えていたところ、行っていません。
この町で、私はあまり普通の生活をしていないみたいです。
近くに素敵な美術館があります。できたばかりの頃、わざわざ東京から見に行きました。とても素敵な美術館です。毎日近くを通るんですけどね。
私の山も、「日が暮れるまではいられる場所」です。
棘にまみれた服を脱いでシャワーを浴びるには、借りた家に帰らなくてはいけません。
刈払機とかレーキとか、運ぶのがめんどうなものは雑貨屋さんの物置に置かせてもらっています。いつでも自由に使える物置とか、ありがたくて、これはちょっと「自分の場所」っぽい感じ。
って、人様の物置でした。すみません。
私の山にはまだ家がなく、借りた家はダンボールを積んだままの仮住まいで、いつでも帰れる東京の家には帰っていない。
私の場所って、どこなんでしょう?
もしかて、そういうの、なくてもけっこう平気かも?
なんて感じてしまって、少し妙な気分です。
久しぶりに電車に乗るので、本を4冊持ちました。
若い頃、私はたくさんの本を読んだのですが、地方をあちこち回る仕事をしていて、移動時間がたっぷりあったからです。モバイルネットワークとかなかった時代です。
その中で、いつか読み返したいと思うもの、何冊か手元に置いていますが、ダンボールに詰めたままでした。
を引っ張り出して、スーツケースに入れました。
犬はとっとと自分でバッグに入ります。
では、行ってきます。
用地奪還の闘い(来季に向けての決意を固めて、今季は終了)
吊橋の建設では、最初に両岸を結ぶパイロットロープを張り渡します。
それを手がかりにメインケーブルを張り、ハンガーロープを吊るし、橋桁を架設します。
この1本の蔓が足場になって、入り組んだ構造物が構築されるわけです。
いや、それ、やめて。
地目宅地の93番地にはケヤキとかモミジとかキンモクセイとかクリとかクルミとかがありますが、
地目山林の48番地にはこの木しかありません。ミズキとキリがあるのは隣の筆です。
なので、この木が自動的に48番地のシンボルツリーです。
年齢不明。性別オス。性格は、ちょっと傾いています。
この木に、いっぺん触ってみたいと思っていました。
そう、触ったことがありません。
これは4月の写真ですが。
容易に近づけそうに見えますが。
この辺の地質構造はこんなですから。
というのは、実は最近判ったことで、
これまではね、近づくと転ぶから近づかないでいただけです。
枯れ草の下に何があるかとか、
ちょっと判りません。
蔓の、スギ林への侵攻を阻止するために、ゲリラ戦を数日闘いました。消耗の大きい闘いでした。
高いところにかかった蔓を引っ張ると、棘が降ってきます。身につけたもの全部、棘にまみれます。ナイロンウエアの上下(暑い)とか貫いて、アンダーウエアに刺さります。グラスファイバーみたいな細い棘が機能充分に痛いです。洗濯しても、ガムテープでぺりぺりしても取りきれないので、二度と着れないじゃないですか。
そのうえ、手鎌2本を失いました。私がぼんやりしていたからです。
そして、丸太をたくさん発掘しました。
発掘個所はスギ林の縁ですが、たぶん、イチョウの周りもこんなです。
「昔はあそこにもたくさん木があった」
と、キュウリ畑の方が言っていました。
「いつ、誰が切ったんだろう?」
それが私には判りません。土地の所有者に聞いても判りません。
まあ、倒木の5本や10本、この辺ではあまり気にしません。転がしておけば土に還ります。
冬に掘り出した切株も、
じき、土に還ります。
この辺では昔からそうしてきたんです。それですんでいたんです。
侵略的外来種、の中の特定外来生物、の中の緊急対策外来種、がはびこる以前なら。
シンボルツリーに伸びたパイロットロープを切断する
ために、
この地質構造に挑みます。装備は手鋸と手鎌(3本め)です。
でもって、今季の闘いはお終い。
ウリ、飽きました。
測量分筆登記と農地転用手続きが終わったら、ここには重機が入ります。その時、丸太も撤去してもらいます。
だって、私一人じゃ動かせませんから。太いのは一抱えもあるんです。
来年はアレチウリが実をつける前に引っ張ります。
その辺に妙な構造物があったら、夏になる前に始末します。
という決意を固めて、
はい、タッチ。
用地奪還の闘い(そろそろ終わりたい)
4月に撮った写真です。
同じ場所の9月。
何がどうなっているかというと、
アレチウリの下にフジとクズとアケビとアオツヅラフジとノイバラがあって、
これを払っていくとミズキが2本ありました。ミズキの手前に朽ちたサクラがありました。ミズキは生きていました。強い木です。
4月、手鎌一つ持たずにこの場所に来て、のんきに写真を撮っていた自分に教えてあげたいです。
「さっさとその枯れた蔓を始末しないと、酷い目に遭うから」
今、酷い目に遭っています。
なぜか、昔旅行したカンボジアの遺跡を思い出しています。
こういうの。
さて、
蔓を払って、ここまで来ました。
林の中。は静かです。
初秋、昼下がりの里山。もとより、虫の声くらいしか聞こえません。
これは、だから、耳で感じる静寂ではなく。
さっき払った蔓、カーテンのように垂れ下がる蔓の外には、夏草の凄まじい生命力が溢れています。いや、もう、かんべんってくらい。
それが、林の中には及びません。
ここにいる木は静かです。草も静かです。
アオキがひっそりと実を結んでいます。
たぶん何年も前から、今と大して変わらない姿でここにあったんです。
ナンテンも、ヤツデも、きっと。
48番地は半年前に重機を入れました。115番地は5月の終わりに。
どちらも、ひと夏ですっかり夏草に覆われました。
林の中は変わりません。
まるで、時間の流れる速さが違っているようです。
夏草と闘って2週間が過ぎました。秋の風が吹いてきました。
そろそろこの闘いも終わりです。
と思ったら、
こんなものをみつけてしまいました。
ああ、まだ終われない。
用地奪還の闘い(続き)
私の刈払機、タンクいっぱいの燃料で1時間働きます(ベストエフォート)。
私がへとへとになるまで働きます。
先日の写真の「1m以上ある」ドームを攻略したところです。
へとへとになって、機械を置いて、よっこいしょ、立ち上がったところで、
おや、誰か来ますよ。
「いいエンジンだね」
土木業者さんです。
この方に先日連絡をしました。「115番地に種を蒔きます。力を貸してください」
土をどう作るか、何の種を蒔くか、を相談しています。
こういうの、ふつう土木業者さんの仕事じゃありません。でも、農家の仕事に詳しい方なので、力を貸していただいています。
でもここ、115番地からは離れてますよ。バス停いっこ分くらい離れてます。
刈払機、けっこうな音がします。こっそり作業とかできません。
115番地で振り回していたら、ギャラリーがつきました。道路に停まって、じっと見ている車が数台。
いや、草刈りとか、珍しくないでしょう?パソコンより刈払機の普及台数の方が多い地域ですよ?
まあ、せっかくのギャラリーです。かっこよく刈ってみようとか、思いました。
姪(が時々手伝ってくれます)は知らない男性に声を掛けられたそうです。「いつもの人と違うね」
いつもの人には声を掛けないで、若い娘にだけ声を掛けた人、誰ですか?
畑の作業、成果が丸見えです。
農業委員の人も、農業委員会事務局の人も、私の畑の様子をご存知でした。
だって、そこにあるの、見えますもんね。
ときどき会う人に「よくがんばるね」ほめてもらっちゃったりします。
素直に嬉しいけど。自分のためにやってることですよ。
48番地は人目に立たない場所ですが、音のする機械を振り回していたら、私の居場所は筒抜けです。
この日は他にも来訪者がありました。姪。
「なんべん電話しても通じない!」ので、来たと。
ああ、そうね。電話機は車の中でした。
「服のポケットに入れとけば?」
いい考え。でも、それを忘れるんですよ、あなたの叔母は。
まあ、せっかく来たんだし、一杯やっていきなさい。混合燃料を、タンクに一杯。
さて、アレチウリ。
開花しました。結実しました。
グラスファイバーみたいな棘が生えた実です。痛いったら。
これが1株に数百~数万つくんだそうです。まじですか?
手前は先日救出したキリですが。
背後のスギに蔓が回ったら、ひどくやっかいなことになる予感。
これは絶対、食い止めないと。
用地奪還の闘い(序幕)
ちょっと前まで道があったんですけどね。
アレチウリ。
から、用地を奪還する闘いを開始します。
刈払機で一閃、
はできません。空に向かって立つ、正直な草にはできるんですが。
3次元に展開する、いじわるな草にはできません。
ので、
引っ張ります。
引っ張ってから刈る、2段階戦略です。
ずるずるずる。
長いものは10mくらいあります。
ずるずるずる。
やってるうちにおもしろくなってきましたよ。
引っ張るといろんなものが出てきます。
ホオズキ。
まだ生きています。
他にも、クリとか、キリとか、クワとか、
この春に出た若い木が、まだ持ちこたえていましたよ。
1日め。
道を奪還しました。
この辺は半年前に重機が入っているので、攻略も容易です。
問題は道を外れた所で、年を経て増築を重ねた構造物(蔓でできたやつ)があります。
こんなやつ。
この空洞は、アレチウリに覆われて死んだ木や草の形骸です。
これは1m以上ありますね。こんなのをうっかり踏み抜くと危険です。
以前うっかり踏み抜きました。初めてこの場所に登った時。けっこうな深さに落ちて、アドベンチャーな体験をしました。
ことを思い出したので、容赦はしません。
引っ張った後は刈る。
力を入れて2ストロークエンジンを始動します。
3日かけてこの程度。
この闘い、まだ続きます。
間にある斜面
左(平らな所)は私の畑です。右(平らな所)はIさんの美しい水田です。
さて、間にある斜面はどなたのものですか?
嫌な予感がするんですよね。
調べました。はい。うちの土地でした。
つまり、この蔓の始末をするのは私です。
オオブタクサを刈る時、この蔓に苦労しました。
オオブタクサは刈りにくい草じゃありません。でも、
蔓がからんだものは、思いがけないタイミング、思いがけない方向に倒れます。
背の高いのが何本もまとまって自分に向かって倒れてくると、痛い。
2回ほど転びかけました。刈払機回してますからね、転んだら危ないです。
ケガをしてこの藪に埋まったら、ちょっと発見されませんよ。冬になって、藪が枯れたら発見されますかね。
この蔓の正体はアレチウリ。大切に栽培すると法律で処罰される特定外来生物です。
クズほどに頑強じゃありません。ちょっと引っ張ればちぎれます。
ヤブガラシみたいに痛くありません、くっつきません。まとめて引っ張ることができます。
ツタのような吸着根はありません。高い木に絡んだ蔓も、上手に引っ張れば手繰れます。
でも、クズより、ヤブガラシより、ツタよりやっかいです。
1年草です。発芽は遅めです。
他の草木が育った頃に伸びてきて、めちゃくちゃな勢いで伸びてきて、育った草木を覆います。
覆われた草木は光を遮られて枯死します。
夏に伸び、秋に結実し、冬に枯れます。
絡み合った蔓がそのままの形で残ります。
翌年、新しい蔓がその上を覆います。
こうしてできた奇妙なオブジェが、山のあちこちにあります。
さて、115番地の斜面ですが。
刈るのは無理です。傾斜がすごく急なんです。
立って歩くことができないし、機械を入れることもできません。
薬剤を散布するというのが一般的な方法ですが、
薬剤、何を?散布、どうやって?
の答えが思いつきません。
だいたい、枯れたあとも絡んだ蔓が残るんですよ。
冬になって枯れたところで、下から火をつける(提案者:土地の持ち主の孫)は効果的な方法と思えますが、
やっちゃだめだそうです。
「ヤギを飼うといいですよ」
営農相談員の方が教えてくれました。
さすがはプロです。エレガントな対処法をご存知。
って、私、前からヤギ飼うって言ってませんでした?
ヤギ、飼います。今すぐじゃないけど。
私のヤギは、たぶんまだ生まれていないんです。
特別に気だてのいい、大食いのヤギを迎えたら、この斜面のお相手をすることにして。
それまで、この斜面にはお待ちいただくことにして。
48番地。
を、なんとかしないと。
これでは測量ができません。