そんな春です
私が115番地の隅っこを耕して、少しばかりの種を蒔く間にも、季節がどんどん動いていました。
サクラが咲いて、散って、タケノコが出てきて、ウドもタラノメも出てきました。
田には水が張られ、カエルの声が響いています。
気がつけばフジが満開。
家の工事、どんどん進んでいます。
4月18日 着工
4月19日 砕石敷き込み
4月20日 防湿シート敷き込み
4月23日 鉄筋が入りました
4月26日 これは捨てコンと言うそうです
4月28日 コンパネを組んで
5月6日 基礎コンクリートのできあがり
5月8日 スラブに給水管が通っています
そして、これが今日、5月9日の様子
この間、いろんな事がありました。
東京の義母が亡くなりました。
穏やかな春の日、満開の桜の下で納骨をしました。
夫の仕事が変わりました。
定年まで1年を残して退職、4月から新しい仕事に就きました。
誇りを持ってセカンドステージに踏み出す夫を、私も誇りに思います。
実家の母がケガをしました。
たいそう機嫌が悪いのですが、犬を連れて会いに行くと喜びます。
姪に素敵な出会いがありました。
この姪は、人に懐かない野良猫のようなところがあって、ちょっと心配だったんです。
あなたが幸せそうにしていると、叔母も嬉しいです。
職場で異動がありました。
私の仕事は変わりません。でも、新しい顔ぶれで、ちょっとまた新鮮な気分で、働いています。
よい職場です。
辛いこともあったし、嬉しいこともありました。
どうしようもないこともあったし、どうにかできたこともありました。
いろんなことがたくさんありました。
そんな春です。
種を蒔きます
その日、私は朝から池の周りをうろうろしていました。
5月2日、115番地に種を蒔きました。
種を蒔く場所は、何回かに分けて管理機を入れてあります。
畝の方向に2回、逆転と正転で。畝に直交するように2回、逆転と正転で。
逆転とは、管理機のローターを進行方向と逆に回すことです。爪がしっかり地面に食い込んで、ダイナミックに耕せるのが楽しい。
正転は進行方向にローターを回します。スピードが出て、さくさく耕せるのが楽しい。
そして前日、畝の形にもう1度、管理機を入れました。いえ、3度。
土の塊がゴロゴロしてるけど、何度やってもあまり変わりません。
「こんなんでいいですか?」ご指導いただくご夫妻に聞いたら、
「もうちょっと細かくして」
ですよね。
でも、管理機で何度耕しても、ゴロゴロのままなんです。
ゴロゴロの土を細かくする方法、ないですか?
ありました。
①篩にかける
歩留まりが悪すぎます。
②ローラーで轢き潰す(そしてその後、管理機で起こす)
ローラーがありません。
③糠を鋤き込む
糠は精米所でもらえます。ただし、鋤き込むのは秋。
冬の間に発酵した糠が、土をふんわりさらさらにするそうです。間に合いません。
④枯れ葉を鋤き込む
発酵した枯れ葉も、土をふんわりさらさらにしてくれます。
じゃなくて、
ぱりぱりの乾いた枯れ葉を、ぱりぱり鋤き込んで、土の粒子に隙間をつくります。
いいですね、これ、採用。
ということで、
朝から池の畔で落ち葉掻き。
この時期に、山盛りの落ち葉がすぐに集まりました。すごいですね、ここ。
ちなみに、竹は春に落葉するんです。これからするんです。
竹の葉は分解が遅いので、ここには1年中落ち葉があります。誰も片付けないからね。
さて、枯れ葉の効果の程は?
おお、すごい。
と、やってるところに、トラックが来ました。本日の先生がみえました。
私「こんなんでいいですか?」
先生「よく頑張ったね」
えっへん。
で、耕耘はOK。いよいよ畝をつくります。
ところで、なぜ畝をつくるんですか?
答えは、
①何をどこに植えたか判るようにする
②水はけをよくする
です。他にもあるけど、私の場合はこの2つ。
今回はマルチを張るけど、マルチがなくて畝もなければ、種を蒔いた場所が判らなくなりますよ。
そして、畝がなかったら、雨が降ったら水没します。雨が止んでも暫らく水浸し。
それじゃ困るので、畝をつくります。
畝には高畝と平畝があります。今回は簡単な方の平畝。
で、畝のつくり方ですが、
普通、畝は「立てる」といいます。つまり土を盛り上げます。
が、私はずっと「つくる」と書いています。
私の先生は土を盛り上げないんです。周りの土を掘り下げました。
耕耘した土の周りを、鍬の刃の幅だけ掘り下げました。さくさく。
なるほど、この方が簡単です。
畝ができたらマルチを張ります。
シートの端っこを土に埋めて、畝の上にころころ広げて、畝の長さで切る。
あ、畝の長さはあらかじめ麻ひもで測ってあります。先生が測ってくれました。
そして、シートの残りの3辺も土に埋めて、できあがり。
マルチを張ったらネットを張ります。
用途が判らなかった杉板、ネットをぴんと張るために使うんでした。
網目に合わせて、ノコギリで刻みを入れて使うんです。
以上で、種撒きの準備ができました。後は蒔くだけ。
というところで、雲行きに変化が。
この日は暑くもなく、寒くもなく、とても作業のしやすい日でした。
前日まで夏日が続いて、地面はからからに乾いていました。
それが、
種を蒔いて、蒔き終わったところで、ぽつりぽつり、
芽出しの雨。
ほら、私、運がいいでしょ?
ええ、成り行きです
今日は種蒔きの様子を書くつもりでした。でも、その前に、書くことがありました。
話は4週間前に遡ります。
廃屋の片付けに来ているご夫婦に、花の作り方を教わりました。
もう一つ、教えてもらったのは販路です。これ、単純です。
「市場に持っていけばいい」そうです。
お出入り業者の審査とか、難しいことはなく、「持っていけばいい」そうです。
「いっぺん行って、花卉センターの人に相談するといいよ。いろいろ教えてくれるから」
ということで、
行きました。卸売市場。
広いです。そして、誰もいません。
入っちゃっていいのかな?
入ります。
卸売市場、遠いんです。苦労して辿り着いたんです。誰かに会わずには帰れません。
ちょっとうろうろして、やっと人のいる部屋をみつけました。
「こんにちは」
カウンターの女性に声をかけます。
「素人ですが、畑を作ることになりました。ヒマワリを作ろうと思います。相談にのっていただけますか?」
「お待ちください。担当の者を呼びます」
テーブルに案内されました。少しして、作業着の男性が出てみえました。そして、
「もしかして〇〇町の方ですか?」
いえ、まだ私名乗ってません。
「畑って、坂の途中の、あの見晴らしのいいところですか?」
はい。でも、まだ名乗ってませんよ。
すごい、偶然です。
センターの方、ご近所の方でした。測量の立会をお願いした家の方でした。そして、親切な方。
いろいろ教えていただきました。
花を切るのは朝か夕方、咲きかけの、頃合いのものを収穫します。
切って、水揚げして、箱に詰め、その日のうちに市場に運びます。市場は夜まで開いています。
翌朝セリにかけ、売れた分の代金を振り込んでもらいます。
というシステム。
大変なのは収穫と搬入。これ、オフィスの仕事が終わってからの作業になります。
花の売値は1本30円から60円くらい。
700粒の種、発芽率85%として600本、を売って1.8万円から3.6万円。では収益はありません。種、マルチ、ネット、箱、にコストが掛かります。そして手間賃はゼロ計上。
採算が取れるようにするには、スケールメリットが必要です。生産量を10倍にすれば、何とか。でも、これはすぐにはできません。オフィスの仕事がありますから。
でも、やってみようと思いました。
センターの方、現地指導に来てくださるそうです。なにしろご近所ですからね。
やってみようと思います。
力を貸してくださる方が、偶然に、立て続けに。
こういうカードが揃ったら、やるしかないでしょ?
700粒の種
115番地に種を蒔きます。
ヒマワリの種。
あの場所がいちめんのヒマワリ畑になったら、、、
夢のようですね。
夢です。
今回蒔くのは700粒。畑のほんの一部です。
いきさつを。
秋に草を刈りました。そして、春になるまで放っておいて、その間に、何を植えるのかを考える、という計画をたてました。
春になったので、ヒマワリに決めました。
他に候補に挙がったのは、レンゲ、ミント、ラベンダー。
これをいちめんに、という夢を描きました。
うっとり。
でも、いちめんって難しいんです。
ミレーの「種まく人」みたいに豪快にばらまいて、それでいちめんになったらいいのだけど。
種は普通、蒔いた後で覆土します。そして、たいてい鎮圧します。
覆土も鎮圧も手間なので、いちめん、簡単じゃないです。
なにより、115番地にはいろんな種や地下茎が埋まっています。
私の種が育つかどうかは、まわりの種や地下茎に勝てるかどうかということで、
これが困難。
丈の低いものはだめ、成長の遅いものはだめ、そして、コストの高いものは無理、
ということで、ヒマワリに決めました。
ヒマワリを10,000粒蒔こうと思いました。ちゃんと覆土して、鎮圧して、ね。
それが、700粒になりました。大幅なスケールダウン。
なぜかって?
そもそも、ヒマワリを蒔いてどうするかって、問題です。
花が咲いたら眺めます。花が枯れたら刈り取ります。それだけ。
のつもりでした。私。
ロシア映画に出てくるようないちめんのヒマワリ畑は、食用油を取るための作物です。
営農指導員の方も、食用油の原料として栽培することを勧めてくれました。
たいした収益にはなりませんけど。でも、農家の作物らしい作物です。
ところが、私はここで食料作物を作るつもりがないんです。
ここは長年、持ち主が使わずにいた場所です。
1年前にショベルを入れたら、一抱えもある石だの、鉄パイプだのが出てきました。
半年前に草を刈ったら、断熱材だの、絨毯だのが出てきました。
今もまだ、握りこぶしの大きさの石やビニールが出てきます。
この土地がどんな使われ方をしてきたのか、実はよく判りません。
何度も通って、いろんな人と会って、だんだんに判って来ました。いつ、誰が鉄パイプを埋めたのか、とかも。
もちろん、私は腹を立てています。今後、そのようなことをさせるつもりはありません。
で、もう少しこの土地と付き合って、この土地のことを判って、きれいにしてからと思うんです。食料作物をつくるのは。
食物をつくれる土は、他の場所にもあリますから。
ということで、ヒマワリは眺めるだけ。
ここはたいそう見晴らしがいいんです。路線バスも通るし、人通りもそれなりにあります。
花が咲いたら通る人に喜んでもらえるかな、とか思いました。なにより、私が喜びます。
ということで、景観用のヒマワリ(という品種があります)を蒔くつもりでした。10,000粒。
それが700粒になりました。
なぜかって?
親切な人がいたからです。
今、93番地の廃屋を片付けています。
2月に明け渡してもらう予定だったのが、まだ片付かなくて、借り手の方が片付けに通っています。
連日ご夫婦でいらして、仲良く作業をされています。
連日トラックに一杯づつ運び出しているのに、まだ片付きません。どんだけ詰め込んだんですか?
連日いらっしゃるので、ちょくちょく顔を合わせます。話をします。
「今年はハナカツミがよく咲きます。藪を払って、陽が入るようになったからですね」
「今日はダンプカーが来てました。砕石を置いていきました」
など、いろいろ。教えてくれます。
ある日、「屋根裏でこんなものをみつけました」
渡してくれたのは曽祖父のトランク。中身は明治時代の地図や書付。父も知らないものでした。父がたいそう喜びました。
私もあれこれ話します。
「畑にヒマワリを植えます」
「品種は?」聞かれました。
「景観用の大輪種」答えたら、
「サンリッチレモンがいいよ」言われました。
サンリッチレモン?切花用の品種だそうです。
「それなら売れるし」
「売るんですか?花を?」
それ、考えてませんでした。
いえ、農家になると決めた時、最初に考えたのが花卉生産でした。あっさり却下しました。
だって、花卉の販売は難しいと聞きます。市場のニーズに合わせるのが難しい。母の日にぴったり合わせてカーネーションを咲かせるとか、どんな秘技ですか?
「難しいのもあるけど、ヒマワリならできるよ。教えるよ」
なんと、このご夫妻、花卉生産販売の経験がありました。サンリッチレモン。
さっそく、作り方のご講義を受けます。
まず、畝を作って、マルチを張って、ネットを張るそうです。「種まく人」方式は却下。
マルチは然るべき幅、然るべき間隔で穴の開いているもの。
この穴に一つづつ種を蒔きます。等間隔に植え付けて、均一に育てるため。さらに、雑草を防止し、土の水分を保つため。
ネットはマルチの穴にピッタリ合ったもの。これで、茎が倒れないように支えます。
ネットを張るために、プラスチックの支柱と木の板も必要です。
この買物に、先日付き合っていただきました。
お店の中で、奥様が紙とペンを持って計算します。
「何mの畝を何本作ったら、種は何粒?」
その結果、700粒になりました。
最初に作るのは、10mの畝を2本。畑のほんの一部です。ですが、
「いっぺんに蒔いちゃだめだよ。少しづつ、時期をずらして収穫するように」
で、700粒も一度には蒔きません。とうていいちめんにはなりません。
それでも、作業は大変。もちろん、私一人ではできません。
マルチも、ネットも、うっかり触ったらぐちゃぐちゃになっちゃうような代物です。そして、木の板の用途は判りません。
さて、一昨日、最初の1列を蒔きました。親切なお二人に手伝っていただきました。
その様子はまた。
竹を切ります
竹を切るのは簡単です。伸びている最中の若い竹なら。
簡単に切れて、簡単に腐ります。
冬を超えた竹は硬くなります。
これを切るのは力仕事だし、切った後の処分も大変。
その辺に切り倒しておいても、簡単には腐りません。
なので、昔からいろんな用途に使われてきました。
建材に使うなら5年ものがよいそうです。これはたいそう堅牢です。
竹はどんどん増えるので、適宜切らなくてはいけません。もしくは、竹藪自体をすっかりなくすか。
じゃないと、どんどん周りを侵食して、道も庭もなくなります。
うちの山、切り倒された竹がたくさんあります。
いつ、誰が切ったものなのか・・・こういう集積物があちこちにあって、
いつか、片付けようとは思っています。
いつか、片付ける方法を思いついたら。
さて、電力会社の伐採、「廃棄処分なし」の約束です。
ということは、その辺にまた、切り倒された竹が集積するということで、
(まあ、しかたないな)と思っていましたが。
伐採業者さんから朗報が。
「うちには粉砕機があるので、持っていきます」
まあ、嬉しい。
竹を粉砕すれば嵩が減リます。
だけじゃなく、雑草除けに庭に撒いたり、燻して畑に鋤き込んだり、バイオマス燃料にしたり、とかの使い途ができます。
使い途を考える楽しみができます。
ただ、粉砕機を運んで据え付けるには制約があるので、使えるのは平らなところだけ。
斜面の竹はその場に置くそうです。
「でも」
伐採業者さん、うちの藪の集積物の前に立って、
「こんなふうにはしませんよ」
横顔にプロの矜持。かっこいいです。
作業の当日、は休日でした。
休日なのに、作業員の方達が来てくれました。
そして、これが粉砕機。
今回の業者さんはチェンソーを使います。
以前お願いした業者さんは刈払機でした。その時の作業の様子、私はじっくり見てしまいました。
刈払機で、まず竹の根元を切ります。タン。
枝葉が繁っているので、周りに竹がたくさんあるので、倒れずまっすぐ地面に落ちます。だるま落しみたいに。
そこをまた、50cmくらいの高さでタン。そしてまた、タン。
を、繰り返します。だるま落しです。
素人がやったら途中で倒れるでしょうね。熟練の方だからできるのでしょうね。
あっという間に何百本かを切ってくれました。
切った竹はパッカー車に運びました。隔週水曜、燃えないごみを集めに来てくれる塵芥車みたいなの。
が、回転式のプレートで竹をばりばり粉砕して、バイオマス処理施設に持って行ってくれました。
それも楽しい見ものでしたが。
チェンソーの作業も素敵です。じっくり見たかったのですが。
時間がありません。買物に行かなくてはいけません。畑の資材、マルチングと園芸ネットと支柱とその他、の買物。
もちろん、私には何を選んだら良いのか判らないので、判る人に付き合ってもらいます。親切な人が付き合ってくれます。
という約束があったので、竹を切る作業、ちょっとしか見られませんでした。
買物が終わって山に戻った夕方、作業は終わっていました。
竹藪の一部がなくなっています。
この、拓かれた場所を電線が通ります。
隣家の電柱。
この周りも藪でした。今は夕月が綺麗に見えます。
そして、私の家の電柱。
今年はフジの花は咲きません。
花の咲く電柱より、ふつうの電柱が好きです。
そして、これが作業の跡。
素晴らしい、プロの作業です。
電気を引く。その前に、
オフィスの昼休み、携帯に着信がありました。登録のない番号から。
以前の私なら、こういう電話は取りません。迷惑電話とか、不愉快ですもんね。
最近は躊躇なく取ります。大事な連絡かもしれない。
この辺では、大事な連絡が電話で来るんです。番号を知らせた覚えのない方からも。
「電力会社の者です。○○町の新築工事の配電の件で」
ほらね。
家を建てるのだから、電力会社とのお付き合いも必要です。
これまで、給排水の心配ばかりしてきたのは、自分の負担で引くからです。
電気は、ちょっとくらい辺鄙な場所でも、電力会社がインフラを提供してくれます。
なので、電力会社と話をするのは初めて。
何の話かと言うと、
私の家に電気を引くために、架線工事をするそうです。
工事のために、竹の伐採をするそうです。
伐採のために、許可書にハンコが要るそうです。
できれば今日中に。
「判りました。すぐ行きます」
ランチの約束をしていた主任さんにごめんなさいを言って、駐車場に走ります。
私の車、買ってちょうど1年になります。
1年前にはたいそう苦労した道程ですが、普通に走れば20分。昼の時間帯なら15分。
昼休みにちょっと行って、帰ってこれる距離なんです。
私の山にたくさんの人が来ていました。
基礎工事の方、水道工事の方、電気工事の方、あと、廃屋の片付けの方も。
みなさん、私のために働いてくださっています。こういうところを見られるの、すごく嬉しいことですよ。
で、電気工事ですが。
私の家、すぐ近くに電柱があります。去年、きれいな藤が咲いていた電柱。
最近わかった事ですが、これは現役の電柱でした。93番地の廃屋に電気を運んでいます。
これは先週の写真ですが、
今、この廃屋を片付けています。中に詰まった荷物を運び出しています。
この明かりはそのための給電ですが、この場所に明かりが灯るのは何年ぶりでしょう?
私的には、ちょっと胸を打たれる光景です。
で、電気工事ですが。
現役の電柱と現役の架線があるのだから、新しい家の配電も簡単。
と思ったら。
現役の電線、かなり老朽化しているようで、電柱何本か分を張り替えるそうです。
その何本かが、すみません、うちの荒れ地の中にあって、竹を切らないと工事ができないそうです。
竹と、何本かの雑木を。
「ずいぶんお手数をお掛けすることになりますね」
「本来は定期的にメンテナンスするんだけど、ここは暫くいじってなかったようで」
誰も電気を使っていなかったから、ですね。今でも使えることの方がびっくり。
切る木を確認させてもらいました。大丈夫、父が大事にしている泰山木は切りません。
伐採許可書にハンコを押しました。
近く、伐採業者の方が来るそうです。
畑を耕します
115番地にトラクターが来ました。
すごいでしょ?
こっちが前で、
こっちが後ろ。
かっこいいでしょ?
私のじゃありませんけどね。
これはBさんのトラクターです。
今、Bさんの家で工事をしているんです。
この辺で工事があるときは、その辺の空いた場所を使うんです。皆さんそうするんです。車を置いたり、資材を置いたり、ね。
忽然と大きな機械が置かれているとびっくりするけど、Bさんはちゃんと断ってくれました。
「ちょっと使わせてください」
「どうぞ使ってください」
で、今日、仕事の帰りに寄ったら、トラクターが置いてありました。
かっこいいんで写真を撮りました。私のじゃありません。
私のは、これ。
管理機です。
管理機は畑を耕す機械で、耕運機よりちょっと偉いやつです。どの辺が偉いのかは判りません。
ネットで安い耕運機を探すと、家庭用掃除機のようなのがいっぱい出てきます。宅配便で送ってもらえます
もちろん安い方がいいのだけれど、家庭用掃除機のような小さな機械は重い土に入りません。機械が暴れてすごいことになります。
いえ、やったことはありません。やった人がいて、ネットに動画を上げていて、私は見ているだけで上腕骨外側上顆炎が痛くなりました。
ので、検索条件を管理機に変えて探しました。ヤフオクとかで安いのが出ています。宅配便で送ってもらえます。
でも、使うのは私ですからね。通販じゃ心配だもん、メンテナンスを頼めるお店に探しに行きました。
この間のお休みの日に行きました。
「ごめんください。管理機を探しています。私の予算で買えるのありますか?」
2台ありました。
1台はちょっと新しくてちょっときれいなの。ガレージに置いてありました。
「これなら、うーん、10万円でいいよ」
10万円、が私の予算です。
もう1台はバックヤードにありました。だいぶんぼろい感じで、
「こっちは6万円。まだ整備中だけど」
ツナギの男性がレンチで部品を外している最中。
で、どっちがいいんでしょう?ツナギの方に尋ねたら、
「こっち」
あら、商売っ気ないですね。とりあえず高い方を薦めるもんじゃないですか?
「こっちの方が程度がいい。スペックは変わらない」
「んじゃ、こっち、いただきます」
ということで。
翌日届けてもらうことにして、時間と場所を打合せて、
「では、よろしく」
立ち上がったところに、入ってきた人がいます。
「あれー、何してるの?こんな所で」
なんと、同じ職場の方でした。同じ職場の方ですが、違うフロアの方。よくは存じ上げない方です。が、ひょんな所でお会いするもんですね。
何をしてると聞かれ、管理機を買いに来たと答えたら、
「管理機を?買ったの?」
びっくりされました。
翌日、午前9時半、115番地に管理機が来ました。
お店の人が届けてくれて、使い方を教えてくれて、そして、聞かれました。
「ここを、全部、この機械で、ですか?」
「だめですか?」
「うーん」
腕組みをされてしまいました。そして、
「昨日店で会った人、Sさん」
「はい」
お名前は存じませんでした。別のフロアの方ですからね。
「いい人です」
「はい」
とても感じの良い方でした。
「いい機械を持ってます」
あら素敵。
「たくさん持ってます」
とっても素敵。
「相談にのってもらうといいですよ」
はい、わかりました。お名前はSさん。覚えましたよ。
さて、作業開始。
管理機の操作、秋にお借りした草刈機とだいたい一緒です。ハンマーナイフの代わりに回転式のナタ爪がついています。って、たぶんこっちが本家ですね。
車体に適当な重みがあるので、暴れずにちゃんと土に入ってくれます。
手を添えて歩くだけなので、上腕骨外側上顆炎もだいじょうぶ。
あ、方向転換はちょっと痛いですね。
まずは道路に沿って耕します。できるだけ長い距離を、できるだけまっすぐに。
畑の中程に水路が切ってあるので、そこでターン。で、次は畑の端の、砂利舗装の部分まで。
で、1往復。
これを繰り返します。
よい天気です。こんな日に、外に出てやることがあるのはよいことです。
どこかでウグイスが鳴いています。
やわらかな風の中、暖かな日差しの中、機械に手を添えて、歩き続けます。