電気ノコギリがやっと

届きました。

そう、やっと。

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この注文をキャンセルして、もう一回注文しました。

そしたら2日後、届きました。2個いっしょに。

いえ、2個はいらないの。

 

竹を切る道具、ずいぶん考えました。

チェーンソーとか、チップソーとか、レシプロソーとか、

どれにしようかな?

価格とか、操作性とか、上腕骨外側上顆炎とか、

いろいろ考えて。

やっと買えました。

 

で、切りました。 

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棹と枝葉を分けて積んであります。枝葉のボリュームがすごいです。

 

 

冬になったらやってみたいと思っていたことがあります。

竹の1m切り

「竹を1mの高さで切ると根まで枯れる」そうです。

「地下茎も枯れて、竹藪を縮小できる」そうです。

「切るのは12月から2月にかけて」だそうです。

2012年、NPO法人「フォレストぐんま21」理事長の菊川照英氏が提唱されました。

でも、どうして?そんなんでどうして竹が枯れるの?

 

竹を地際で切ると、地下茎が直ちに感知してシンジケートから除籍します。

「長い間お疲れさま。安らかにお休みください」

でも、1メートルの高さで切ると、地下茎は感知しません。

「まだ働けるよね。がんばって働け」

実際、切られた竹は生きています。その働きぶりが素晴らしい。いえ、竹にとってではなく。

冬の竹藪は眠っています。切られた竹も、静かに眠っています。

そして春、竹藪は活動を初めます。

地下から水を吸い上げ、梢に運び、蒸散と光合成を行います。そうしてつくった栄養を、地下茎の先のタケノコに送ります。どんどん。

でも、このパイプラインは決壊しているので。

切られた竹は生きていて、地下から水を吸い上げます。梢に運びます。梢がないのでだだ漏れます。じゃぶじゃぶ。

決壊箇所が多ければ、これは同時多発テロ

こうして、シンジケートは衰退します。拡大再生産から、縮小再生産へ。

 

というのが、竹の1m切りについての私の理解。もしかして違ってるかも。

とにかく、試してみましょう。

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1mよりちょっと高めに切りました。

つまづいたとき、顔や胸を刺さないように、ちょっと高めで。

家の紹介をします(その2)

壁の話をします。

 

打ち合わせの時、こんな会話がありました。

依頼人「和室があるんですか?」

工務店「大壁和室ですが」

依頼人「和室があるんですね?」

工務店「大壁和室ですけど」

ここで、依頼人から「大壁和室って何?」という質問は出ません。

大壁だって小壁だって、和室は和室でしょ?

 

紹介します。私の家の和室です。

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ところで、大壁和室って何ですか?

 

大壁造と真壁造

和室の造りには大壁造真壁造があります。

 

大壁は柱の外側に造る壁

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柱を挟んでパネルを張ります。

パネルとパネルの間には断熱材や筋交が入ります。

 

施工中の大壁。

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こんなふうに仕上がりました。

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手前は和室です。間にあるのは5寸の柱で、途中で色が変わっているのは職人さんの仕事です。

ということに、ついさっき気が付きました。この写真を見て、あれ、どうなってるの?

こんな小さな家に5寸柱は謎なので、今度工務店さんに聞いてみます。

ちなみに、私の家で露出している、これが唯一の柱です。

 

真壁は柱と柱の間に造る壁

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日本の伝統的な家屋では、柱と柱の間に壁を造ります。

古くは、竹や葦を格子に編んだ「木舞」に土や漆喰を塗って造りました。

この方法だと、普通に柱が露出します。

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壁の中身まで露出しているのは、すぐそこにある廃屋です。

こんなに壁が崩れても、まだ倒れず建っているのは軸組構法だからです。

で、その軸組の梁が曲がっていますが、これは元からです。

昔の家には曲がった木がよく使われました。

 

そこに杉林があります。

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私の家を建てるのに、その杉を使えなかった理由は、

工務店「規格の材じゃないので、製材しづらい。施工後に狂いがでる」

簡単に言うと、真っ直ぐに育った木じゃないと構造材に使えない

じゃあ、

「そこにある廃屋はどうなんですか?」

問い質したら、

「土壁ですから」

という答え。

そう、塗り壁なら、曲がった構造材に合わせて壁を造れます。

構造材が縮んだら(材木は経年で収縮します)、壁を塗り重ねればいいんです。

現代建築には向きません。

建築基準法の制約の中でこういうものを造るには、とてもコストがかかります。

今は、普通に石膏ボードが多いです。

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夏まで住んでいた家も真壁造でした。

壁は左官仕立ての砂壁。でも、下地はたぶん石膏ボードです。

 

 

というのが、大壁と真壁の違い

最近は大壁造が主流です。施工が簡単でコストも安い。

それでも、伝統的な和室がほしいときは、付け柱や見せ梁でそれっぽくします。

これなら軸組のない2×4でもできるし、ビルの中の居酒屋でもできます。

 

と、ここまで書いたところで、電気ノコギリが届きました。

壁の話の続き(があるんです、どうやら)はまた。

家の紹介をします(その1)

電気ノコギリがまだ届かないので、

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他のことを書きます。

家の紹介をします。

確か、だいぶ前に紹介するって書いて、投げっぱなしにしてました。

それを今更思い出したわけです。

最近「建築一般構造」の勉強をしたからです。

ほら、新しいことを覚えると喋りたくなるものでしょ?

 

その1:構造

私の家は「木質構造」です。普通に言うと「木造」。

この、木造家屋を構法で分けると、

・在来軸組構法

・木質プレハブ構法

・枠組壁工法(2×4工法)

・丸太組構法(ログハウス)

となります。

えっと、2×4のところだけ「工法」になっているのは変換ミスじゃないです。これが正しい名称です(と、講義で習いました)。

で、問題。

4つの構法の中で、どれがいちばん人気でしょう?

これ、私にはちょっと意外だったんです。

2012年の新設住宅着工戸数に占めるシェアは、

在来軸組構法74.8%、2×422.1%、プレハブ3.1%。

なんか、いちばん馴染みのない言葉が上位に来ましたが、

在来軸組構法、どういうのかというと、

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柱や梁の軸組で家の形を造ります。

 

枠組壁工法(2×4工法)丸太組構法(ログハウス)には、

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軸組がありません。柱も梁もありません。

って、知ってました? 

知らずに家を建てたのが私です。

 

ところで、えっと、プレハブ構法

これには軸組と壁式と両方があります。

部材を工場で予め(pre)生産・加工(fabrication)するのがプレハブ

軸組でも壁式でも、工場でできることは工場でやっちゃうのがプレハブです。

木造より軽量鉄骨の家に多いです。大手のハウスメーカーがたくさん提供しています。

 

ということで、

紹介します。私の家の軸組です。 

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これは屋根と床下地と防湿シートが張られたところ。

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天井を張る前の、小屋組の見えるこの姿が好きでした。

 

それでね、これは地産地消の木材なのですが、

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以前、木材製造協同組合で親切にしてもらったので、

aldertree.hatenablog.com

これが私には嬉しかったです。

(つづく)

電気ノコギリが届きません

今日から取り掛かるって宣言したのに。

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Amazonさんからこんな連絡が・・・

 

仕方がないので、今日はあれこれ調べて過ごしました。

竹藪の整備について調べました。

そしたらね、

違うことが書いてあるんですよ。

竹は冬に切るのがいい。とか、夏に切るべし。とか、

なるべく地面の際で切りなさい。とか、腰の高さで切りたまえ。とか、

孟宗竹の寿命、10年ですか?30年ですか?

 

ネットではありがち、ですけどね。

 

でもね、

行政とか、森林組合とか、林業機械メーカーとか、

嘘は書かないと思うんですよ。

嘘のつもりでは書かないと思うんです。

だから、まあ、諸説あってよく判りません。

 

とにかく、

竹を切ります。

冬に切ります。

ちょっと高めの位置で切ります。

電気ノコギリが届いたら。

 

竹について、いろいろ調べました

竹から生まれたかぐや姫は、3月ほどで「よきほどなる人」になります。

春に出たタケノコが一夏で20mの竹に育つ、に因んだのでしょうね。

 

地下茎

竹を1本地面に植えて、大事に養生して、一人前に育てたら、やがて地下茎を伸ばし、地下茎の先にタケノコを作ります。これは元の竹のクローン。で、翌年また地下茎を伸ばし、またタケノコを作ります。

こうして1年生の竹・2年生の竹・・・元の竹が繋がってシンジケートをつくります。

小さな竹が育つための栄養は、シンジケートが供給します。地下のパイプを通して、じゃんじゃん。

 

枯れる竹

1本の竹の寿命は20年ほど。竹藪では毎年、年老いた竹が枯れていきます。

地下茎にも寿命があって、古い部分から朽ちていきます。

シンジケートはボスを失っても、分家したクローンが担っていきます。

そして、ごくたまに開花します。

開花周期は品種によって、70年とか120年とか。

竹藪の全体が一斉に開花して一斉に枯死する、そうです。

 

増える竹

竹藪では毎年新しい竹が生まれるけど、毎年老いた竹が枯れていきます。

なので、幾何級数的に増えるということにはなりません。

なので、制御は可能です。

私はそれをするつもり

 

成長点

植物の成長点はふつう、先端にあります。

植物の体は細胞でできているので、「伸びる」というのは細胞の数が増えることなので、これはレンガで建物を造るイメージ。

レンガを積み上げていくように、既存の構造を壊さず、上に新しい構造を載せていくのが「先端成長」。

これを多くの植物が採用しています。

でも、ときに変わり者がいて。

 

横道ですが、掃除刈り

という言葉があります。牧畜に携わる方たちの、たぶん業界用語です。

草刈り歴3年目の私の目に留まった、福音のような言葉です。

広い牧場にたくさん生える草の中の、生えてほしい草を育て、生えてほしくない草を除く方法ですって。

なに、それ、すばらしい。

が、どういうのかというと、

広い牧場の草を、地上10センチくらいの高さで刈る。

だけ。

って、私が普通にやってることですが?

 

畑や空き地の草刈りは、地面の際で刈るのが正しいです。プロの業者は刈払機を地面のすれすれで操作します。素人でも、きちんとした性格の人はそうします。

でもこれ、難しいんですよ。地面がでこぼこだったり、木の根や石があったり。慎重にやらないとブレードから火花が飛びます。

なので、いいかげんな性格の私は、刈りやすい高さで刈ります。刈払機をぶんぶん振り回すのは楽しいです。

で、この正統じゃない草刈りで、生えてほしくない草だけ除くことができるんですか?なぜ?

 

牧畜業者にとっての生えてほしい草は牧草です。

牧草というのは馬や牛や羊が好んで食べる草で、長い歴史を、生える先から食べられてきた草です。

こういう草は「地上部の先端を失ったらお終い」では生き残れないので、いろんな方法を編み出してきました。その一つが、「先端成長をやめる」というやり方。

イネ科の植物は株元に成長点を移しました。レンガを上に積み上げるんじゃなく、下から押し込んで押し上げるって、ウルトラCなやり方。

ウルトラCなので、構造は丈夫じゃないといけません。イネ科植物はプラントオパールをつくります。

 

プラントオパール(ああ、また話が横道に、、、)

というのは、植物がつくるガラスのこと。

イネ科の植物は土の中のケイ酸を取り込んで、細胞の中でガラスをつくります。これで茎や葉の構造を強化して、ウルトラCで押し上げます。

ササやススキを触って手を切ったこと、ありません?葉の縁がギザギザしていて、あれ、ガラスです。

 

で、話を竹に戻すと、

竹はイネ科の植物です。その構造にガラスを持っていて、だから強靭。

そして、成長点は奇妙なところにありました。いえ、竹の場合は点じゃなくて帯

 

伸びる竹

竹には節があります。タケノコにも節があります。

タケノコの、節と節の間が伸びて竹になります。

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この、全部の節の間に成長帯があって、全部の成長帯で一斉に成長します。

なるほど。

 

竹はタケノコの姿のままで伸びます。

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枝葉のないタケノコの姿のままで、一人前の高さまで伸びます。

枝葉がなくても、光合成をしなくても、栄養はシンジケートからもらえるからね。

 

 

と、この数日、こういうことを調べていました。

竹藪を竹林に戻すために、です。

明日から取り掛かります。

 

年頭にあたり

4月に竹を切りました。

電線を張り直すために、100本ほどを切りました。

aldertree.hatenablog.com

道ができました。


瓦屋根の土蔵の先が麓の町です。

ここはずっと藪だったところで、長年立ち入る人はいませんでした。

が、

「電線を張り直した」ということは、以前は藪ではなかったということで、

実は、この道が父の生家のアプローチでした。

子どもの頃、私は手をついてここを登った記憶があります。

たぶん5歳くらい。

「おばあちゃんの家は崖道を手をついて登った先にある」すごい家だと思いました。

 

昭和の初め、ここを馬車や荷車が通ったそうです。

・・・本当ですか?

昭和の半ば、ここを葬列が通ったそうです。

黒無地染め抜き5つ紋。土葬の時代の話です。棺を担いでこの道を。

・・・本当ですか?

 

という道が復活しました。通る人はいません。

5月、叔母と姪が鎌を手に、筍を刈り歩いたくらいです。

 

4月に竹を切りました。切った端から筍が生えました。それを、みつける端から刈りました。

掘るんじゃなくて、刈る。ぎざぎざの草刈鎌を根元にあてて、ぐさっと。

で、真面目に掘るのの10分の1くらいの時間労力でいけます。

毎日仕事帰りに立ち寄って、日が暮れるまでの間に刈りました。

ふつうの藪なら、伐採した後に木が生えて、電線に届くまで何年かの猶予があります。でも、竹ですから。

 

刈り残した筍が数日で伸びて(5月19日)


どんどん伸びて(6月2日)


存在感のある竹になりました。

 

竹林と竹藪

の違いって?

 

手入れされた竹の群生が竹林、放置されて荒れたのが竹藪、です。

藪と言っても、蔓だの棘だのはありません。竹藪にあるのは竹だけ。

常緑で背が高い竹が密生すると、その下には日が入らないので、他の植物は育ちません。

 

では、

竹害

って?

 

その辺の山や畑を放っておくと竹が侵入して、どんどん増えて、先にあった植物と入れ替わります。

春に花が咲き、秋に実が実り、小鳥が遊び、リスが駆け回った雑木林が、竹藪に遷移してしまうのは残念。

という話。

最近あちこちで問題になっています。

 

さて、うちの竹ですが、

400年前に西の方から持ってきたものです。

400年の大半を美しい竹林でいたものを、最近の30年放置して竹藪にしたものです。

竹藪になってからは、竹林の頃の倍の面積に広がりました。えーっと、300坪くらい?

杉の林は広がらないので、それと比べれば行儀悪いな、なのですが。

アレチウリよりはましです。

aldertree.hatenablog.com

それより、400年行儀よくいたのがすごいと思うのです。

 

ということで、年頭にあたり所信を表明します。

この竹藪を竹林に戻します

さて、何年かかるでしょう?