農地法5条違反です
農業委員会から連絡がありました。
「おたくの農地に盆栽が置いてありますが」
ありますね。みごとな松の盆栽が、たくさん。ご近所の方が丹精されているものです。
って、ああ、だめじゃないですか。
農地法4条・5条
・許可を得ることなく農地を農地以外のものにしてはいけない
・許可を得ることなく農地の譲渡、賃貸等をしてはいけない
・虚偽の申請によって許可を得てはいけない
違反に対する罰則は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
坂の途中の空き地(地目は畑)に接して、古い知り合いの家があります。曽祖父の代からの付き合いの雑貨屋さんです。
この方が空き地の様子をみてくれています。草を刈ったり、はまり込んでいる車に声を掛けたり、奥に陥没した場所があることを知らせてくれたり。
空き地を放っておくと草が生えます。ヤブ蚊やらアブラムシやらが発生して近所に迷惑をかけます。
ときどき道に迷った車が入り込みます。ここの土は柔らかいので、タイヤがはまって往生します。
陥没した場所があると覗きに来る人がいます。落ちても這い上がるトムソーヤのような子どもならいいけど、ご老人も覗きに来るんです。ご老人は落ちないでください。ちょっとした捻挫でも何日も不自由な思いをするし、気分が塞ぎます。
ということで、雑貨屋さんにはお世話になっています。ご自分の庭の延長のように面倒をみていただいています。
で、
この方が丹精されている盆栽が増えて、ご自分の庭に置ききれなくなったとき、
「裏の空き地に、ちょっと置かせてもらっていいですか」
となり、
裏の空き地の持ち主は、
「どうぞ置いてください」
と言いました。
自然な流れでしょう?農地法5条違反です。
農業委員会も、こんなケースで罰金だの言いません。というか、目に入りません。盆栽の鉢はずっと置いてありました。
今回連絡があったのは、この土地に絡んで、私があれこれ申請していたからです。
申請があれば、行政は調査しなければいけません。調査して違反状態をみつけたら、是正勧告しなければいけません。
わざわざ盆栽の並んだ農地を俎上に上げたのは私です。
なぜそんなことをしたのかって?農地法5条を知らなかったからです。
いえ、知っていました。こういうもの
を書いていました。
ごめんなさい。
慌てて父に電話しました。父は雑貨屋さんに電話しました。なんとか鉢を撤去してもらわないと。
でも、電話じゃ話にならないんです。父がそう言うんです。
それはそうでしょう。ずっと使っていた土地を、いきなり立ち退けと言われても困ります。
でも、このままでは私も困るので、直接会って話すことにしました。父と一緒に押しかけることにしました。
職場に欠勤届を出して、新幹線に乗りました。有給休暇はね、もう全部使い切っちゃってます。夏からこっちの、行ったり来たりで。
直談判、あっさり話がつきました。
電話で話にならなかったのは、高齢者同士の遠隔コミュニケーションの問題でした。
話がこじれていたわけではなく、そもそも通じてなかったんです。ふたりとも耳がちょっと遠いんです。
父と私の連絡手段は主にメールです。
アナログ音声回線の苦手な父ですが、デジタル情報回線は得意です。この人、第一級陸上無線技術士です。
磁気ディスクの前の、磁気テープの前の、紙テープの時代から電算機使ってきて、今も使ってます。
50年前の写真とか、100年前の登記簿謄本とか、頼むとすぐにデジタル化して送ってくれます。
ところで、盆栽。
あっさり話がついちゃって、時間持て余しちゃいましたよ。
立ち退きがうまくいかなかったら、この土地の申請を取り下げて、他の土地で申請し直すつもりだったんです。
そのために、法務局とか市役所とかに行く時間をみていたんです。
法務局とか市役所とかは平日しかやってないので、いちいち欠勤しないと行けないんです。
年度末の忙しいときに、書類の山を隣の机に押し付けて、2日も休んで来たんです。
そして時間を持て余しているんです。
各方面、ごめんなさい。