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片道8kmの通勤の苦労について書きます

初出勤

家を出て暫らくは田舎道。緩いカーブと勾配の片側1車線道路です。

橋を渡ると市街化地域。車線が増えます。

高架道で軽い渋滞。500m先の右折に備えて右車線に移ったら、ちょっと進んだところで路面に  が現われました。

これ、曲がらなくちゃいけませんよね。曲がりたくないです。

曲がります。

ナビがルートを再検索します。だいじょうぶ、この辺の景色には覚えがあります。なんとか道を取り戻します。

駅前の大通りを右折、の後すぐ左折、で4車線を一気に横断、という悪行を働きました。

そして職場に到着。所要時間30分。

車を降りたら、しっかり背筋を伸ばして歩きます。きんと冷えた空気と、抜けるような青空。

「本日からお世話になります。どうぞよろしくお願い致します」

 

職場の近くにショッピングセンターがあります。仕事帰りに、犬と私に必要な、すてきなあれこれを揃えました。店を出たら日が落ちていました。

迷子になりました。

進む方向は判っています。直進です。でも、走っているのは ↰  のライン。いつの間にかそうなっています。

曲がります。駅のロータリーに入ります。入りたくないけど入ります。

この辺で一番交通量の多い場所。一番交通量の多い時間。を、用もないのにウロウロするという悪行。

ナビがルートを再検索します。ナビが案内してくれる道、まるで覚えがありません。ここを左折、ですか、はい。その先を右折、ですか、はい。

いきなり、暗い、細い路地に入って、止まりました。

 

「ケガはない?救急車呼ぶ?」

声を掛けられて、

「110番をお願いします」

応えました。声を掛けられて、事故を起こしたことに気が付きました。

 

電信柱にぶつかったんです。見えなかったんです、電信柱。

ケガはなく、電信柱に損傷はなく、壊れたのは私の車だけでした。

近くの家の方が駆けつけてくれました。息子さんと、お母様と、お父様。

警察が来て、ロードサービスが来て、事故処理が終わるまで、ずっと付いていてくれました。

 

車は廃車になりました。

きれいな色の車、夫に陸送してもらった車、ごめんなさい。

それほどひどく壊れたわけじゃありません。修理は可能と聞きました。でも、エアバッグが作動したので、購入価格の3倍の修理代がかかるそうです。

ロードサービスの業者に廃車の手続きをお願いしました。私の車、ごめんなさい。

 

暖かい夕方でした。暖かくてよかったと思いました。

他人に被害を与えなくてよかった。明日も仕事に行けそうでよかった。引っ越してきてよかった。

そう、思ったんです。

親切な人たちがずっとついていてくれたからです。

 

 

翌日

始業1時間前に家を出て、電車に乗りました。

実はこの家、駅が近いんです。せせらぎの音を聞きながら歩いて数分。停まる電車は1時間に1本です。

鼻水を流しながら面接を受けたところ(不採用)なら自動車通勤一択でした。

採用いただいたアーバンな職場は、電車とバスを乗り継いで行けます。

所要時間は50分。朝は、です。

 

帰りに迷子になりました。

職場は至極便利なところにあって、複数の路線のバスが停まります。

停留所も2つ。玄関のすぐ前と、ちょっと遠い所と。

1時間に1本、の電車に間に合うバスは遠い方の停留所で、時間はぎりぎり。駆け足です。

停留所が見えた時、2台のバスが来てました。道端にあるポストの停留所ですが、たくさんの系統が停まります。なんと17系統。

前のバスは違います。しっかり確認して、正しい系統のバスに乗りました。時間はぴったり。

正しい系統のバスは、走るほどに目的地から遠ざかって行きました。逆方向のバスでした。

見たこともない、聞いたこともない場所でバスを降り、正しい方向のバスに乗って帰りました。所要時間は2時間。

 

次の日からは系統も方向も間違えません。所要時間は1時間だったり、2時間だったり。

乗りたい電車に乗れるかどうかは道路状況次第です。これまでのところ、乗れたのは1回です。

こういうことは慣れなので、少しずつ歩留まりを上げていくつもりです。

 

家に帰ると犬が待っています。

この家の玄関は鍵開けにコツがいるので、開けるまでに何度も、内側から犬が体当たりします。

「痛いからやめなさい」

犬には文句を言う私です。