カブトムシの幼虫が言うんです
午前9時半の庭です。
この頃の朝は靄っていることが多いのですが、それが天候のせいなのか、ここがそういう場所なのか、判りません。
8時くらいに晴れ渡ると、日差しは暑いくらいです。
この山で、初めての冬を迎えようとしています。
冬になる前に、やっておきたいことがたくさんあります。
山の動物が冬支度をするように、私もやっておきたいことがあるんです。
そして今、切株が気になっています。
目の前にある切株、死んだ木の残骸。
実は最近出現したものです。
いえ、以前からここにありました。
でも、
7月16日の写真です。
ね。
7月18日。
この日に出現しました。
写真はレベルを測って勾配をつくっているところ。たくさんの土を削りました。
その、表土を削った固い地面を耕しているんです、私。
建物の側から始めました。
犬走りに沿ってリュウノヒゲを植え、
その外側にヒメイワダレソウを2列、4列、6列、
で、切株の側まで来ました。
そしたら、 ふいに変ったんですよ。手ごたえが。
さくっ。
三角ホーが軽く入るんです。なんと気持ちの良い。
そして、
ころん。
カブトムシの幼虫が転がり出てきました。
いや、危ない。もう少しでぐっさりやるところでしたよ。
それまで掘っていた土には、小さな虫も見ませんでした。雑草も、よほど根性のあるのしか生えません。
そんな土にむりやり木や草を植えた私は、悪代官のような奴だと思いました。
もとは同じ土だったはずです。
1本の木が根を下ろし、地下の深くから水を吸い上げ、梢に運んで蒸散し、大気に放つ。木陰をつくり、小さな生き物を呼ぶ。草を呼び、鳥を呼ぶ。微生物が活発に働く場をつくり、そうやって、年月をかけて変わっていったんです。
理屈では分かっていました。でも、分かっていなかった。
秋中ずっと、やっかいな土をいじってて、ふいに優しい土に出会って、分かりました。
悪代官は改心しました。工事のリコールに着手しました。
キャラボクを傷めてしまったんです。葉の1/4くらいが枯れてしまいました。
なので、掘り上げて、土を入れ替えました。
この庭、端の方に良い土がたくさんあります。切株も、実はいっぱい。
ということに、やっと気が付いたんですよ。
いえ、分かってはいたんですよ。でも、分かってなかった。
リュウノヒゲも全部、今植え替えています。大変ですけど。
でも、その方がいいよって、
カブトムシの幼虫が言うんです。