ケヤキ(明治生まれ)
古い家の庭にケヤキの大木がありました。
明治時代の生まれです。
誰が植えたわけでなく、いつのまにか生えて育っていたようです。
3本ありました。
今はありません。
この木、私も目にしているはずですが、記憶にありません。
写真もありません。枝先の写った2枚しか。
50年前の写真です。
「昔はドローンがなかったので」ケヤキに登って撮ったそうです。
枝の向こうに麓の町が見えます。
麓の町からも、この木が見えたそうです。
汽車を降り、あたりを見回して、
ケヤキの大木を目印に、歩いてここまで来れたそうです。
小一時間ほどかかったはずです。
今はありません。
伐採前の写真です。
黄色い矢印がケヤキ、青い矢印が家の場所です。
伐採時。
3本の木を切り出すために、ずいぶん土地をいじりました。
まあ、
2年後にはこうなるんですけど。
ここ、上の写真の矢印の場所ですよ。
3本のケヤキは、近くの山に住む杣師に引き取られていきました。
いくつかの夏と、いくつかの冬を、杣師の山で横になって過ごした後、
柱や机や箪笥になるでしょう。
ここに立っていたときよりも、もしかしたら長い時間、
大事に使われる柱や机や箪笥になるといいです。