竹の秋
あっという間に変わる景色の中で、
竹藪が黄変しています。
何かの異変でしょうか?
この山には3種類の竹があります。
フジの花が咲いている竹、これはこの辺に普通にある竹です。
黄変はしていません。筍はまだ出ていません。
私が一生懸命筍を収穫している竹、枯れかけている竹、
これは400年ほど前に「西の方から」わざわざ持ってきた竹です。
歴代の人たちが「竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり」大事にしてきた竹です。
が、2代くらい前から放置されています。
この竹、2008年に花を咲かせました。
笹は60年、竹は100年に一度開花し、藪ごと枯れる。
と聞きますが、この9年の間に、この藪が枯れたかどうかは判りません。
藪の中、青竹と枯竹が混在してますが。
で、9年前に開花した竹が、今枯れかけているのって、何かの異変ですか?
心配になって調べました。
「竹の秋」春の季語だそうです。
竹は春に落葉するんです。
そういえば昔、「綿の国星」で読みました。
落ち葉の降る竹藪で、チビ猫とラフィエルが会話してました。
「春だからね」「どうして春だと葉っぱが落ちるの?」
確か、そんな会話。
忘れていたけど、覚えていました。覚えていたけど、異変じゃないかと心配しました。覚えていた意味、ないですね。
竹は春に落葉するんです。筍をつくるのに養分を使ってしまうので。
異変ではなく、9年前の開花とは関係なく、毎年繰り返されていることでした。
道は枯れ葉に埋まりました。
枯葉の上で、枯葉色の犬が寝ています。
今日は畑の草刈りに来たんです。でも、夏日です。
畳3枚分くらい刈って、へたばって、竹藪に避難してきました。
そして、私も寝てみました。犬の隣で。
子どもの頃、夏休みに遊びに来たここで、昼寝をしたいって思ったんです。
竹を揺らす風は涼やかで、さぞや気持ちよかろうと。
昼寝、できませんでした。それどころじゃありませんでした。
ヤブ蚊がいっぱいで。
今の季節、ヤブ蚊はいません。
ときおり黒いアゲハがひらひらと、木漏れ日の中をよぎります。盛夏に見るアゲハよりかなり小さいです。
竹を揺らす風は涼やかで、枯れ葉の下の土は冷たくて、ずっと寝ていたいと思いました。夜になったら、星がきれいに見えるだろうな。
いえ、畑の草を刈ります。あと畳3枚分。
そして、借りた家に帰ります。陽が暮れる前に。