汚水処理のことが頭を離れないので

書きます。シリーズ「汚水処理」その①。

 

平成28年3月31日現在、全国の下水道普及率は77.8%(下水道利用人口/総人口)、だそうです。

下水道の普及率が40%を超えたのは平成に入ってから、だそうです。

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http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/junkan/index-4/07/07topic.html

これは意外でしたが、

 

汚水処理、下水道だけじゃないです。

公共下水道国土交通省所管)の他に、農業集落排水施設農林水産省所管)、コミュニティプラント環境省所管)、もあります。それと、合併処理浄化槽

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 国土交通省HP http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000311.html

 

これらを合わせた「汚水処理人口普及率」は89.9%(平成27年度末)。

ちょっと安心しました。「汚水処理人口普及率」って言葉はヘンだけど。

で、こんな感じで整備されています。

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国土交通省HP http://www.mlit.go.jp/crd/sewerage/shikumi/sonota-osuil.html

 

さて、今私が住んでいる家、浄化槽が設置されています。

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が、

ある日、台所で洗い物をしていて、

こぽ、こぽ、こぽ、

窓の下で音がするのに気が付きました。窓を開けて覗いてみました。

こぽ、こぽ、こぽ、

水が流れています。台所で流した水が、そのまま、排水溝に。

なんと、この家の浄化槽、単独処理浄化槽でした。

 

以来、汚水処理のことが頭を離れません。

 

単独処理浄化槽、水洗トイレの排水を処理する浄化槽です。

台所、洗濯機、浴室の排水は処理しません。

平成13年以降の新設は禁止されています。

 

平成13年、ついこの間ですね。

ついこの間まで、こういうのがありだったんです。

いえ、今も、既設の単独槽が使われています。

平成20年時点で単独槽545万基、合併槽290万基。

環境省 https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/pamph/pdf/jo_pamph201011-all.pdf

 

この家、旧・住宅市街地造成法による開発団地です。築30年ほどと聞いています。

ということは、93番地の周辺の団地とあまり違わない時期、あまり違わない基準でつくられたわけですが。

 

周辺に団地ができた後、93番地の井戸の水が飲めなくなりました。

 

団地の各戸に排水溝が設置され、排水溝は1本にまとめられ、団地の外に出て、市が管理する池に繋がりました。池は国土交通省が管理する一級河川に繋がっています。

排水溝→池→河川

これが団地の排水経路です。

家を建てるには、排水経路を届け出て認可を受けなければなりません。不適切な排水経路は認可されません。

排水溝→池→河川

は、認可を受けた排水経路です。

 

団地の生活水が池に排出され、池の水が地下に浸透し、93番地の井戸水が飲めなくなった。わけですが、

その93番地の家、浄化槽がありません。合併処理も、単独処理もしていません。20年前まで人が住んでいました。

どうしていたのかって?

トイレは汲み取りで、バキュームカーを頼んでいました。炊事、洗濯、風呂の水は敷地に垂れ流し

え?

 

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93番地家屋の「排水溝」。

今も水が流れているのは、奥の方に雨樋があるからです。そして、犬のしっぽのあたりに台所の排水口があります。20年前まで使われていた塩ビパイプの排水口です。

垂れ流し

どうなんでしょう?これ。

 

○汚れた水をきれいにするしくみ

自然界には様々な生き物が暮らし、それぞれがバランスを保っています。そこには汚れを自然にきれいにする力(自浄作用)があります。しかし人間の集団生活によって生じた汚れは、とても自浄作用ではきれいにできません。そのため、汚れた水を集めて、きれいにする方法がいくつか考え出されました。伊都浄化センターでは、「活性汚泥法」と呼ばれる、微生物を利用した方法を使っています。これは下水処理場で最も多く採用されている処理方法です。

 

○下水処理の原理

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和歌山県下水道公社 http://www.wakayama-spc.or.jp

 

和歌山県は下水道普及率が25.4%(平成27年度末)と群を抜いて低いのですが、それだけに「なんとかしなくちゃ」感のあふれる広報活動をしています。判りやすいでしょ?このHp。

で、何が判ったかというと、

汚水を浄化するのは微生物、なんですね。繊毛虫とか、鞭毛虫とか、アメーバとか、細菌とか、なんですね。

こういう微生物、そのへんの土壌にいっぱいいるので、93番地で垂れ流した水も、ちゃんと浄化されていたんです。敷地内の井戸、団地ができる前は「とても清冽な水が出た」と聞いていますから。

 

その後、この地域には農業集落排水が整備され、団地の水は道路下に埋設された汚水管で集合処理施設に運ばれるようになりました。

池への排出はなくなり、使われなくなった排水溝が遺跡のように残っています。

 

ということで、

93番地の排水、93番地周辺の団地の排水に気をもむ必要はなくなりましたが。

気になるのはこの家です。

困りましたね、カレーを作ろうと思ったのですが。