シリーズ「汚水処理」その③

フォトギャラリー「排水溝」

画像フォルダがこういう写真であふれているタブレットはおかしいと思います。

他に撮るものないんですか?

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さて、シリーズ「汚水処理」その③

前回、集合処理施設への接続を「できない、けどできる」ことにしてもらったのはいいけど、「工事費、そんなに高いんですか?」、厳しい現実に直面し、うなだれるところまで書きました。

ここで相談者は一旦退場します。そして2ヶ月後、再び市役所へ。

 

相談者「浄化槽にします」

集合処理の整備地区では浄化槽は使えません、本来は。でも、地域の特殊事情で「できる」ことになっています。ということを、窓口の方に説明するところから。

これ、行くたびに説明しなくちゃいけないんです。対応者が変わるたび。

担当者「そういうことなら」

納得いただいて、設置条件などの相談。

担当者「浄化槽なら、少しは安くなるでしょう」

少し?

担当者「合併処理浄化槽、5人槽の本体価格が50万。据付設置工事費が30万」

と、排水設備指定工事店の価格表に載っていますけど。

相談者「その5人槽、価格.comでは158,000円です」

担当者「それは安いですね」

いえ、お手許の価格表が高いんです。私はそう思います。

 

用語解説 合併処理浄化槽

生活排水を浄化して公共水域に放流するための設備です。所管は環境省。水をきれいにするのは微生物です。繊毛虫や、鞭毛虫や、アメーバや、細菌です。その処理能力は下水道と同等。

ですが、なかなかデリケートな設備です。微生物たちにちゃんと働いてもらうには、きちんと扱わなくてはいけません。なので、工事ができるのは公認の業者だけ。

公認業者の価格はさまざまで、うんとお高いところからお安いところまで。ちゃんとした仕事をしてくれる、良心的な業者を探しましょう。

 

で、

合併処理浄化槽、5人槽の本体価格を20万(以下)、据付工事費を20万(以下)、浄化した水の処理にかかる費用を10万として、合計50万(以下)で予算計上。これで排水設備をつくります。

 

と思ったら、

担当者「処理水を集落排水の本管に流してください」

なんですか、それ?

担当者「地下埋設管の工事費は7000円/m。あと、溜桝をいくつか設置して。あと、アスファルトの切断・掘削・復旧費用がかかります」 

なんですか、それ?

 

 

相談者「浄化槽の水は敷地内処理します」

敷地内処理。93番地家屋の伝統の処理方法。

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いえ、未処理水は流しません。合併処理浄化槽を設置します。浸透桝も設置します。

 

用語解説 浸透桝

浄化槽に縁のない都会にお住いの方も、雨水浸透桝はご存知でしょう。舗装下部の土に雨水を浸透させる設備です。都市型洪水を防ぐ、地盤沈下を防ぐ、ヒートアイランド現象を緩和する、など、いいこといっぱいあるので、設置が奨励されています。写真の土地には、まあ、必要のない設備です。

必要はなくても、雨水も、浄化槽の処理水も、地面に浸透させるつもりの相談者です。安いし。

 

が、

担当者「あ、それ、できません。うちの市じゃ」

 

敷地内処理。どこでもやってもいいわけじゃありません。土地によっては沼になります。そこらじゅうに沼ができたら困るので、土地の条件を見て許可する、という自治体が多いのですが。

担当者「うちでは一律禁止です」

なぜって?

設置した浄化槽が正しく管理されないかもしれないし。

(ゴミの不法投棄をする市民とか、違法電波を発信する市民とか、税金を滞納する市民とかがいて困っている市役所は、浄化槽を正しく管理しない市民がいても驚かない覚悟を決めています。はずです)

設備が壊れるかもしれないし。

(いつかは必ず壊れます)

何十年後かに壊れた設備を掘り出して修理するとかめんどうなので、しらんふりして使い続ける市民がいるかもしれないし。

(めんどうだし、お金がかかります。しらんふりして使い続けたくなるかもです)

そういうの、怖いし。

ということだと思います。

 

ですが、

相談者「浄化槽の処理水を集落排水の管に流すんですか?」

担当者「はい」

相談者「集落排水の管を流れているのは汚水ですよね?」

担当者「はい」

相談者「浄化槽がきれいにした水を、汚水に混ぜるんですか?」

担当者「はい」

相談者 「なぜ?」

担当者「そういう決まりです」

 

これでは、納得のいく排水設備はできません。絶対。