畑を耕します
115番地にトラクターが来ました。
すごいでしょ?
こっちが前で、
こっちが後ろ。
かっこいいでしょ?
私のじゃありませんけどね。
これはBさんのトラクターです。
今、Bさんの家で工事をしているんです。
この辺で工事があるときは、その辺の空いた場所を使うんです。皆さんそうするんです。車を置いたり、資材を置いたり、ね。
忽然と大きな機械が置かれているとびっくりするけど、Bさんはちゃんと断ってくれました。
「ちょっと使わせてください」
「どうぞ使ってください」
で、今日、仕事の帰りに寄ったら、トラクターが置いてありました。
かっこいいんで写真を撮りました。私のじゃありません。
私のは、これ。
管理機です。
管理機は畑を耕す機械で、耕運機よりちょっと偉いやつです。どの辺が偉いのかは判りません。
ネットで安い耕運機を探すと、家庭用掃除機のようなのがいっぱい出てきます。宅配便で送ってもらえます
もちろん安い方がいいのだけれど、家庭用掃除機のような小さな機械は重い土に入りません。機械が暴れてすごいことになります。
いえ、やったことはありません。やった人がいて、ネットに動画を上げていて、私は見ているだけで上腕骨外側上顆炎が痛くなりました。
ので、検索条件を管理機に変えて探しました。ヤフオクとかで安いのが出ています。宅配便で送ってもらえます。
でも、使うのは私ですからね。通販じゃ心配だもん、メンテナンスを頼めるお店に探しに行きました。
この間のお休みの日に行きました。
「ごめんください。管理機を探しています。私の予算で買えるのありますか?」
2台ありました。
1台はちょっと新しくてちょっときれいなの。ガレージに置いてありました。
「これなら、うーん、10万円でいいよ」
10万円、が私の予算です。
もう1台はバックヤードにありました。だいぶんぼろい感じで、
「こっちは6万円。まだ整備中だけど」
ツナギの男性がレンチで部品を外している最中。
で、どっちがいいんでしょう?ツナギの方に尋ねたら、
「こっち」
あら、商売っ気ないですね。とりあえず高い方を薦めるもんじゃないですか?
「こっちの方が程度がいい。スペックは変わらない」
「んじゃ、こっち、いただきます」
ということで。
翌日届けてもらうことにして、時間と場所を打合せて、
「では、よろしく」
立ち上がったところに、入ってきた人がいます。
「あれー、何してるの?こんな所で」
なんと、同じ職場の方でした。同じ職場の方ですが、違うフロアの方。よくは存じ上げない方です。が、ひょんな所でお会いするもんですね。
何をしてると聞かれ、管理機を買いに来たと答えたら、
「管理機を?買ったの?」
びっくりされました。
翌日、午前9時半、115番地に管理機が来ました。
お店の人が届けてくれて、使い方を教えてくれて、そして、聞かれました。
「ここを、全部、この機械で、ですか?」
「だめですか?」
「うーん」
腕組みをされてしまいました。そして、
「昨日店で会った人、Sさん」
「はい」
お名前は存じませんでした。別のフロアの方ですからね。
「いい人です」
「はい」
とても感じの良い方でした。
「いい機械を持ってます」
あら素敵。
「たくさん持ってます」
とっても素敵。
「相談にのってもらうといいですよ」
はい、わかりました。お名前はSさん。覚えましたよ。
さて、作業開始。
管理機の操作、秋にお借りした草刈機とだいたい一緒です。ハンマーナイフの代わりに回転式のナタ爪がついています。って、たぶんこっちが本家ですね。
車体に適当な重みがあるので、暴れずにちゃんと土に入ってくれます。
手を添えて歩くだけなので、上腕骨外側上顆炎もだいじょうぶ。
あ、方向転換はちょっと痛いですね。
まずは道路に沿って耕します。できるだけ長い距離を、できるだけまっすぐに。
畑の中程に水路が切ってあるので、そこでターン。で、次は畑の端の、砂利舗装の部分まで。
で、1往復。
これを繰り返します。
よい天気です。こんな日に、外に出てやることがあるのはよいことです。
どこかでウグイスが鳴いています。
やわらかな風の中、暖かな日差しの中、機械に手を添えて、歩き続けます。