電気を引く。その前に、
オフィスの昼休み、携帯に着信がありました。登録のない番号から。
以前の私なら、こういう電話は取りません。迷惑電話とか、不愉快ですもんね。
最近は躊躇なく取ります。大事な連絡かもしれない。
この辺では、大事な連絡が電話で来るんです。番号を知らせた覚えのない方からも。
「電力会社の者です。○○町の新築工事の配電の件で」
ほらね。
家を建てるのだから、電力会社とのお付き合いも必要です。
これまで、給排水の心配ばかりしてきたのは、自分の負担で引くからです。
電気は、ちょっとくらい辺鄙な場所でも、電力会社がインフラを提供してくれます。
なので、電力会社と話をするのは初めて。
何の話かと言うと、
私の家に電気を引くために、架線工事をするそうです。
工事のために、竹の伐採をするそうです。
伐採のために、許可書にハンコが要るそうです。
できれば今日中に。
「判りました。すぐ行きます」
ランチの約束をしていた主任さんにごめんなさいを言って、駐車場に走ります。
私の車、買ってちょうど1年になります。
1年前にはたいそう苦労した道程ですが、普通に走れば20分。昼の時間帯なら15分。
昼休みにちょっと行って、帰ってこれる距離なんです。
私の山にたくさんの人が来ていました。
基礎工事の方、水道工事の方、電気工事の方、あと、廃屋の片付けの方も。
みなさん、私のために働いてくださっています。こういうところを見られるの、すごく嬉しいことですよ。
で、電気工事ですが。
私の家、すぐ近くに電柱があります。去年、きれいな藤が咲いていた電柱。
最近わかった事ですが、これは現役の電柱でした。93番地の廃屋に電気を運んでいます。
これは先週の写真ですが、
今、この廃屋を片付けています。中に詰まった荷物を運び出しています。
この明かりはそのための給電ですが、この場所に明かりが灯るのは何年ぶりでしょう?
私的には、ちょっと胸を打たれる光景です。
で、電気工事ですが。
現役の電柱と現役の架線があるのだから、新しい家の配電も簡単。
と思ったら。
現役の電線、かなり老朽化しているようで、電柱何本か分を張り替えるそうです。
その何本かが、すみません、うちの荒れ地の中にあって、竹を切らないと工事ができないそうです。
竹と、何本かの雑木を。
「ずいぶんお手数をお掛けすることになりますね」
「本来は定期的にメンテナンスするんだけど、ここは暫くいじってなかったようで」
誰も電気を使っていなかったから、ですね。今でも使えることの方がびっくり。
切る木を確認させてもらいました。大丈夫、父が大事にしている泰山木は切りません。
伐採許可書にハンコを押しました。
近く、伐採業者の方が来るそうです。