冬の庭仕事(その1)
窓の外は枯野。
悪くない、と思うのです。私は。
「ここに庭があればいいのに」
先日遊びに来た人に言われました。
えと、庭ですが?
「花を植えたらいいのに」
ああ、その件?
それは、あの、あれです。
世の中には願っても手に入らないものがあるのです。
去年の秋、ここに苗を植えました。いっぱい。
今年の春にも、あれこれ。
クリスマスローズとか、スイセンとか、イチゴとか、ビオラとか、リュウノヒゲとか、ハツユキカズラとか、
のうちの何かが育っていたら、私の努力も報われたでしょう。
私が手に入れたのはカヤの原です。
カヤの原、悪くないです。
負け惜しみじゃないですよ?
この凶悪な蔓の群に較べたら、
このびたびたどろどろ(そして、乾くとがちがちになる)に較べたら、
ねえ、ずっと。
カヤの原、私は好きです。
まあ、ちょっと歩きにくいけど。
花火見えないけど。
ここに家を建てると決めたとき、
「花火が見えるよ」近所の人が教えてくれました。
なにやら有名な花火で、見なくてはいけないもののようです。
花火大会というのはだいたい、人込みがぎゅうぎゅうだったり、暑かったり、虫に刺されたり、売店の売物の値段が高かったりの試練を乗り越えて見るものですが、ここなら「家の中にいてエアコンかけてビール飲みながら見られる羨ましい」言われました。
見えません。
カヤの原、結構な丈があります。これを刈らないと見えません。
ということが、花火の夜に判明しました。
来年は刈ります。
刈ってもすぐに伸びるカヤ。
夏の間に何度か刈りました。イネ科は刈り込みに強いのです。
も、秋に枯れました。
えと、秋に枯れないカヤもあります。
カヤというのはイネ科のあれこれの総称で、秋に枯れるのと枯れないのがあります。
ここのカヤは枯れるやつでした。
秋に枯れたカヤを刈りました。これはもう伸びない。
けど、イネ科は組織にガラスを持っているので、容易には分解しません。
放っておいても土になる気配がないので、管理機で轢きました。
管理機というのは、耕運機のちょっと偉いやつ。
これでぐいぐい轢いたら、春には土になるでしょ?
よく晴れた冬の日、眩しい陽光の中、気持ちよくぐいぐい、
やっていたら、
あらら、
管理機、崖に落としちゃいました。
あらら。