落葉
闇の底がほの白い、そんな光景です。
6時26分。
太陽はまだ山の向こうにあります。
この白さは空から降りてきたものではありません。
よく晴れた風のない夜、放射冷却で熱を失った地面に、空気中の水蒸気が触れて昇華しました。
初霜。
やがて太陽が顔を出すと、
僅かの間に霜は消えます。
こうして始まった一日はとても明るい。
霜が降るのは、よく晴れた、風のない日です。
風もないのに、
私は長いこと、この落葉を眺めていました。
長いこと、この落葉は続いていたのです。
イチョウは自ら葉を落としていました。
イチョウがそんな木だとは知りませんでした。
この家に住んで2年あまり、毎日見ていた木ですのに。
なにかとても、大事なものを見た気がしました。