落葉

闇の底がほの白い、そんな光景です。

f:id:aldertree:20201116210712j:plain

6時26分。

太陽はまだ山の向こうにあります。

 

この白さは空から降りてきたものではありません。

よく晴れた風のない夜、放射冷却で熱を失った地面に、空気中の水蒸気が触れて昇華しました。

 

初霜。

 

やがて太陽が顔を出すと、 

f:id:aldertree:20201116210812j:plain

 

僅かの間に霜は消えます。

f:id:aldertree:20201116210836j:plain

こうして始まった一日はとても明るい。

 

霜が降るのは、よく晴れた、風のない日です。

風もないのに、

 

私は長いこと、この落葉を眺めていました。

長いこと、この落葉は続いていたのです。

 

イチョウは自ら葉を落としていました。

イチョウがそんな木だとは知りませんでした。

この家に住んで2年あまり、毎日見ていた木ですのに。

 

なにかとても、大事なものを見た気がしました。