再建築不可物件

いえ、道はあります。たまになくなるけど、おおむねあります。

相談者「だめなんですか?」

開発指導課「だめなんです」

なぜ?

 

道にも種類があって、然るべき道じゃなきゃだめなんだそうです。

然るべき道ってなんでしょう?

以下、周辺の「道」画像集。

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県道です。

 

 

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県道です。

すみません、空をがきれだから撮った写真です。道も写ってます。一応。

 

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 市道です。

 

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市の道路であって、市道ではないもの、のようです。

週に1人くらい人が通ります(推測)。

 

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道路ではなく通路、だそうです。

 

 

○条○項、というのが然るべき道です。

写真を並べておいて言いますが、写真を見ただけではわかりません。

まあ、だいたいしかわかりません。

何度も通っていてもわかりません。

私が道路だと思っていたのは通路でした。

 

いいんです、通路でも。

道路と敷地の間を通路で繋げば、接道要件クリア、

相談者「ですよね?」

開発指導課「残念ながら、」

 

この道が接道の要件を満たすことは判っています。

現に接道している建物があります。

問題はそこでした。

 

接道のための通路は

「専用通路」または「敷地延長」と呼ばれます。

通路1本につき建物は1戸、という決まりがあるそうです。

不思議な決まりです。

相談者「みんなで仲良く使いましょう?」

開発指導課「そういうわけには、、」

 

 

この道、もとは93番地の家の通路でした。今は別の建物の通路です。

いかなる経緯で、いつ、そうなったのか、建物の所有者も、道の所有者も知りません。

以下、家と道の歴史。

 

明治の終わり、93番地に家ができたとき、この道はありませんでした。

93番地に住む人は、別の場所を通る、別の道を使っていました。

傾斜のきつい、幅の狭い道です。

その道は今もあります。

周辺の土地を手放した後、幅の狭い道だけが、他家の庭を貫いて残っています。

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昭和のいつ頃か、今の道ができました。93番地に住む人がつくりました。

やがて、手前に家ができると道は分かれ、奥に家ができると道は延び、

そんなふうに使われてきました。

その後、

昭和25年、建築基準法ができ(その頃、息子たちが家を出)、

昭和35年道路交通法ができ(その頃、家の主が亡くなり)、

昭和43年、都市計画法ができ(その頃、主の妻が亡くなり)、

いつの間に、道は他の建物の専用通路に認定されていたのです。

 

 

いいんです、それならそれで。

建物1戸に通路1本、なら、

相談者「もう1本つくりましょう」

開発指導課「それはできません」

なぜ?

 

あなたが市街化調整区域に古い家を持っていたら、建替えはしていいです。

ただし、従前の建築物の敷地の範囲内で。

 

いかなる事情によるのか、接道のための通路は敷地の扱いになるそうで、

「もう1本つくる」はだめなんです。

これは原則で、例外もあるけど、93番地ではだめなんです。

 

開発指導課の方は親切で、とても丁寧に対応してくれました。

2016年8月18日。暑い日でした。

原則は原則なので

市街化調整区域にも家はあります。どんな家かというと、

第一次産業従事者が建てた

 例外の一番はこれです。

 あなたが第一次産業従事者なら、市街化調整区域に家を建てられます。

第一次産業従事者の分家が建てた

 例外の二番目。数では一番を超えるでしょうか(調べてません)。

 あなたが第一次産業従事者の分家なら、市街化調整区域に家を建てられます。

 ところで、分家って公式用語なんですか?お役所の文書に普通に出てきますけど?

③市街化調整区域じゃないから建てた

 都市計画法ができる前、市街化調整区域はありませんでした。

 その頃に建った家です。

他にも、50戸連たんとか、沿道サービスとかあるけど、難しいのでスルーします。

で、①と②は新築もありですが、③の新築はありません。

全国でたくさんの③が老朽しています。

これをどうしたらいいでしょう?

だいじょうぶ。①②はもちろん③も、建替えはOKです。

つまり、

 あなたが市街化調整区域に古い家を持っていたら、建替えはしていいです。

 

これですね。これで私も家が建てられる。

と思ったのですが、

 

 

建築基準法というものがあり

これは「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めた法律」です。

昭和25年にできました。

この基準を満たさないと、都市計画法の対象区域に家を建てることはできません。

都市計画法の対象区域は国土の27%だそうです。人口の95%が住んでいるそうです。

ところで、既存不適格物件って何ですか?

 

 

既存不適格物件とは

「建築当初は合法だったものが、法律が変わって基準に合わなくなった物件」です。

明治45年に建てた家のことです、はい。

耐震基準とか、省エネ基準とか、そういうのは関係ありません。建替えりゃいいんですから。

しかし、土地に問題があると問題です。

 

 

接道

都市計画法の対象区域では、建築物の敷地が道路に2m以上接していなければいけない、という決まりがあります。

道路に接していない敷地に家を建てることはできません。

今現在家があっても、建て替えることはできません。

これを再建築不可物件といいます。

次に、事例をみてみましょう。

都市計画法ってなんですか

開発指導ってなんですか

家を建てようと思ったので、市役所に行きました。

家を建てるには建築許可が必要だそうで、

建築許可は開発指導課の担当だそうで、

行きました。開発指導課に。

 

もし私に常識があったら、ここで疑問を持ったでしょう。

「建築」の申請に「開発」の指導?

知識があったら、こんな疑問も持ったでしょう。

「建築確認」じゃなくて「建築許可」?

 

開発指導課の担当者は丁寧に対応してくれました。

担当者「ここは市街化調整区域です」

相談者「はい」

担当者「市街化調整区域では原則、開発行為はできません」

相談者「はい?」

担当者「原則、家を建てることはできません」

相談者「はい??」

 

2016年7月29日。暑い日でした。

 

 

 

市街化調整区域ってなんですか

「市街化調整区域」、聞いたことあります。

正体は知りませんでした。

名前のせいで、誤解を受けやすい子なんです。

「市街化抑制区域」とでも改名したらいいのに。

はい、都市計画法の定義では、「市街化を抑制すべき区域」です。

 

 

 

都市計画法ってなんですか

昭和43年にできました。

気になる人は調べてください。

家を建てようと思いました

ここは宅地です。

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上水も下水もありません。家はあります。

周りのまじめな宅地に謝ります。

 

 

ここは農地です。

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上は田、イネ科の植物が育っています。

右は昔は花畑でした。

下は畑、資材置場ではありません。

ここに車を置いた人、早くどけてくださいね。

 

 

ここは山林です。

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池のほとりにあるのがスギ林。池、見えませんけど。

小高い丘は雑木林になっています。

あと、崖があって、竹藪があります。

それから藪と、藪と、藪があります。

 

 

この辺のどこかに、家を建てようと思いました。

ヤギ

年をとったら田舎に住んで、ヤギを飼おうと思っていました。

ヤギはこんな生き物です。

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おかしいでしょう。

 

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おかしいでしょう。

 

 

年をとったので、田舎に住んで、ヤギを飼おうと思います。

おかしいから飼うわけじゃないです。

おかしいから飼うんですけど。

 

えっと、

 

管理が滞った農地や林野を再び利用するには,多くの困難が伴い課題が多い.
一方,農林地や耕作放棄地における管理手法の一つとして反芻動物の放牧(伊藤,2006)が行われており,
ウシ,メンヨウまたはヤギが利用されている(千田・小山, 2002;阿久津ら,2003;中西,2005;小山,2006;徳田・ 戸苅,2008).
ヤギはウシに比べ小型で扱い易く,急傾斜に強く,野草,潅木に対する嗜好性も良い(的場ら, 2003).

 

と、山形大学紀要(農学)第16巻 第4号に書いてありますよ。

 

これはヤギ、飼わなくちゃいけませんね。

絶壁を手配するのは難しいけど、登れれば何でもいいようです。 

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この辺で、どうでしょうかね?

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2008年、竹に花が咲きました

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古い写真を見ながら、時間について考えます。

写真の時から今までの間に、得たもの、つかみ損ねたもの。

この先得るもの、手放すもの。

について考えます。

 

未来なんて、持て余していた昔がありました。

持っているだけ、ろくな担保もない債権なんて持て余すしかない。

と、若い私は思っていました。

持ってないよりまし。

と、年取った私は言いますね。

 

まだ、つくれる未来はあるかな。

と、聞いてみます。年取った自分に。

持て余すほどの未来はないので、

とりあえず2年後とか。