悲しい事情
近所のご老人が拝むのです。
「南無阿弥陀仏」
いえ、死傷者は出ていません。
息子の車ですが。
サーキットの事故でした。
スピンした車ぶつかってきたとかで、
でも、ドライバーは無事でした。
サーキットの事故には普通の保険は効かないので、修理代は全額自費。
新車買った方がいいんじゃ?という金額です。
「新車買った方がいいんじゃ?」聞いてみました。
「嫌だ!」そうです。
学生時代にアルバイトして買った車です。
買ったときから古い車で、しょっちゅう壊れて、その都度直してきた車で、
ミッションもエンジンも積み替えて、「一生乗る」と言っていた車。
その、ミッションもエンジンも壊れました。
そのうえボディーがぐちゃぐちゃ。
修理に出しても、たぶん元通りにはなりません。
それでも、
「この車を直す」
まあ、気のすむようにし給え。
何を諦め、何を頑張るかを決めるのは、君自身の力量だから。
実はこの人、学生時代車を3台持っていました。
1台は私にくれてしまって、もう1台はこれの修理代に充てるために売ってしまって、残っているのがこれだけです。
近所のご老人が手を合わせて拝むこれだけ。
なので今、私のミライースに乗っています。
私としては、とにかく、人間が無事でよかったよ、とだけ。