用地奪還の闘い(序幕)

ちょっと前まで道があったんですけどね。

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アレチウリ。

侵略的外来種、の中の特定外来生物、の中の緊急対策外来種

から、用地を奪還する闘いを開始します。

 

刈払機で一閃

はできません。空に向かって立つ、正直な草にはできるんですが。

3次元に展開する、いじわるな草にはできません。

ので、

引っ張ります

引っ張ってから刈る、2段階戦略です。

 

ずるずるずる。

長いものは10mくらいあります。

ずるずるずる。

やってるうちにおもしろくなってきましたよ。

 

引っ張るといろんなものが出てきます。

ホオズキ

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まだ生きています。

他にも、クリとか、キリとか、クワとか、

この春に出た若い木が、まだ持ちこたえていましたよ。

 

 

1日め。

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道を奪還しました。 

この辺は半年前に重機が入っているので、攻略も容易です。

問題は道を外れた所で、年を経て増築を重ねた構造物(蔓でできたやつ)があります。

こんなやつ。

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この空洞は、アレチウリに覆われて死んだ木や草の形骸です。

 

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これは1m以上ありますね。こんなのをうっかり踏み抜くと危険です。

以前うっかり踏み抜きました。初めてこの場所に登った時。けっこうな深さに落ちて、アドベンチャーな体験をしました。

ことを思い出したので、容赦はしません。

 

引っ張った後は刈る

力を入れて2ストロークエンジンを始動します。

 

3日かけてこの程度。

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この闘い、まだ続きます。

間にある斜面

左(平らな所)は私の畑です。右(平らな所)はIさんの美しい水田です。

さて、間にある斜面はどなたのものですか?

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嫌な予感がするんですよね。

調べました。はい。うちの土地でした。

つまり、この蔓の始末をするのは私です。

 

オオブタクサを刈る時、この蔓に苦労しました。

オオブタクサは刈りにくい草じゃありません。でも、

蔓がからんだものは、思いがけないタイミング、思いがけない方向に倒れます。

背の高いのが何本もまとまって自分に向かって倒れてくると、痛い。

2回ほど転びかけました。刈払機回してますからね、転んだら危ないです。

ケガをしてこの藪に埋まったら、ちょっと発見されませんよ。冬になって、藪が枯れたら発見されますかね。

 

この蔓の正体はアレチウリ。大切に栽培すると法律で処罰される特定外来生物です。

クズほどに頑強じゃありません。ちょっと引っ張ればちぎれます。

ヤブガラシみたいに痛くありません、くっつきません。まとめて引っ張ることができます。

ツタのような吸着根はありません。高い木に絡んだ蔓も、上手に引っ張れば手繰れます。

でも、クズより、ヤブガラシより、ツタよりやっかいです。

 

1年草です。発芽は遅めです。

他の草木が育った頃に伸びてきて、めちゃくちゃな勢いで伸びてきて、育った草木を覆います。

覆われた草木は光を遮られて枯死します。

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夏に伸び、秋に結実し、冬に枯れます。

絡み合った蔓がそのままの形で残ります。 

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翌年、新しい蔓がその上を覆います。

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こうしてできた奇妙なオブジェが、山のあちこちにあります。

 

さて、115番地の斜面ですが。

刈るのは無理です。傾斜がすごく急なんです。

立って歩くことができないし、機械を入れることもできません。

 

薬剤を散布するというのが一般的な方法ですが、

薬剤、何を?散布、どうやって?

の答えが思いつきません。

だいたい、枯れたあとも絡んだ蔓が残るんですよ。

 

冬になって枯れたところで、下から火をつける(提案者:土地の持ち主の孫)は効果的な方法と思えますが、

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やっちゃだめだそうです。

 

「ヤギを飼うといいですよ」

営農相談員の方が教えてくれました。

さすがはプロです。エレガントな対処法をご存知。

って、私、前からヤギ飼うって言ってませんでした?

 

ヤギ、飼います。今すぐじゃないけど。

私のヤギは、たぶんまだ生まれていないんです。

特別に気だてのいい、大食いのヤギを迎えたら、この斜面のお相手をすることにして。

それまで、この斜面にはお待ちいただくことにして。

 

48番地。

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を、なんとかしないと。

これでは測量ができません。

始動

私「それでは、家を建てる手続きを始めていいんですか?」

Yさん「どうぞ、始めてください」

ということで。

 

設備業者さんに連絡します。

「耕作証明が出ました。建築確認申請の準備をお願いします」

土木業者さんに連絡します。

「115番地に種を蒔きます。力を貸してください」

測量事務所に連絡します。

「測量を始めてください」

工務店に連絡します。

「相談にのってください」

 

工務店に相談します。家のプランを作ってもらいます。

家のプラン、首都圏のハウスメーカーに作ってもらったものがあります。設計士の方が丁寧に作ってくれた、とても素敵なプランです。

でも、測量と農地転用で躓きました。

市街化調整区域の農業者住宅(あれこれ厳しい制限がつきます)、しかも農地転用が必要、は、首都圏のハウスメーカーには難しい案件でした。

いえ、誰にとっても難しいです。予算がタイト、の条件もつきますし。

 

この難しい案件を、「地元でちゃんとした仕事をしている、良心的な工務店」に相談します。

いきさつはこうです。

ある日、職場に設備業者さんが訪ねてみえました。一枚の図面を置いていきました。

「今手がけてる家だけど、こんなのはどう?」

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小さな家です。私の予算で建つ家です。

「もうじき屋根が上がるから、よかったら見においで」

行きました。3回行きました。棟梁の仕事を拝見して、施主の方とお話しして、工務店を訪ねることになりました。

「ここなら、どんな注文も聞いてくれるから」設備業者さんのお墨付き。

だいそれた注文はありません。48番地に建てる。私の予算で建てる。それだけで大変なんです。

でも、いくつかお願いしてみました。

 

壁と床に無垢材を使ってください。

外装や外構の経費は削っていいです。床面積も削っていいです。豪華なキッチンとかいりません。

ここだけは贅沢をさせてもらいます。壁と床に無垢材を使ってください。

 

屋根の付いた縁側をつけてください。

縁側。お借りした家の、いちばん気に入っているところです。

私が建てる家にもぜひ、ほしいです。破れていない屋根がいいです。

 

犬用の出入り口をつけてください。

最近、犬がトイレを使ってくれなくなりました。外に出ないとだめなんです。

そのために朝早く起こされるのはいいとして、私の帰宅が遅くなると可哀想なことになります。犬も、私も、可哀想なことになります。

壁の一部に小さな出入り口を造作してください。

 

林のスギを使えませんか?

これはコスト的、工期的、技術的に、難しいお願いです。

「目の前に売るほどのスギがあるのに、家を建てるのに使えない理由」は、今は書きません。実はよく判りません。

とにかく、これまで相談した業者には全て「無理」と言われました。

無垢材をたくさん使った家を手がけるF社さん、S社さんはそれぞれ、フィンランドとカナダの輸入材を使っています。

I社さんは国産材を使用していますが、「自社基準で仕入れた国産材を海外工場で加工」しています。

目の前に木がいっぱいあるから使う、という単純な考えは通用しません。

なので、だめもとでお願いしてみます。

1本でも、2本でもいいです。私の建てる家の何処かに、林のスギを使えませんか?

このスギは、この地に建てる家のために植えられたものなんです。

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このお願いの、特に4番目のために、来週、工務店の方が現地に来てくれます。

晴れるといいな、と思います。

農業委員会と相談する

 農業委員会は市区町村に設置される行政委員会です。農地法に基づく売買・貸借の許可、農地転用案件への意見具申、遊休農地の調査・指導など、農地に関する事務を執行します。

農業委員会には、農業委員の人と農業委員会事務局の人がいます。

農業委員は特別職の公務員(非常勤)で、農業に識見のある人が任命されます。だいたいが認定農業者で、地区ごとに担当が決まっています。

農業委員会事務局の人は自治体の職員です。「去年は市民課で住民票を発行してました」とかの、普通の公務員の人です。

これまで、営農に関する相談は農業委員に、法的・事務的な相談は農業委員会事務局に、お願いしてきましたが。

 

農地転用の手続きで困りました。

相談する相手によって、言われることが違うんです。

たいそう困った挙句、「誰に相談するか」を相談することにしました。

 

ミッション1 農業委員に相談する

難しい案件です。私がヘマをしないよう、お目付け役を手配します。

「東京は暑いでしょ。避暑に来ませんか?」

甘言を弄して夫を招聘。

週末、菓子折を持って委員のお宅を訪問します。

「おくつろぎのところ失礼します」

結果、農転の手続きに関しては全て、事務局に相談することになりました。

「事務局のYさんを訪ねなさい。こっちからも話をしておきます」

「ありがとうございます。おじゃましました」

で、ミッション1コンプリート。

 

この後、夫は畑でドローンを飛ばしたり、その辺をドライブしたり、温泉に浸かったり、の夏休みを過ごして、猛暑の東京に帰って行きました。

ああそう、草刈りも手伝ってくれました。仕事(私は夏休みじゃなかったので)の帰りに畑に寄ったら、100坪くらいが刈られていました。

刈払機使ってみたかったんですよね。おもしろかったでしょ?

またいらっしゃい。草はいっぱいありますから。

 

ミッション2 農業委員会事務局に相談する

週明け。私の夏休み。農業委員会事務局に行きます。

相談案件は2つ。ひとつめは、

農地取得の際に申請した作物を変えてもいいですか?

草刈りをしてる時、考えました。

手に入らない用土を探すのをやめて、この土でできることをやる。そして少しづつ、この土を育てていく。ことができればと。

営農計画書にはブルーベリーを作ると書きました。

ブルーベリーは手のかからない作物で、素人にも作れると思えたからです。

確かに、普通の野菜、他の果樹よりは手がかかりません。植え付けてしまえば。

その、植え付けができないでいます。

ブルーベリーは酸性の用土を好みます。一般的な畑の用土は弱アルカリ性です。

ブルーベリーは針葉樹の端材でよく育ちます。一般的な作物は針葉樹を嫌います。

この、ブルーベリーの用土に苦労しているのですが、一般の畑の用土なら入手は簡単です。

その辺の誰かに頼めば、来週にでもダンプカーで運んでもらえます。

自分で作ることもできます。

今畑にある草、刈り倒して放置してある草を、放っておくと分解します。分解したら土に鋤き込みます。通気性と水捌けの良い土になります。

そこに何かの種を蒔きます。手のかからない作物、素人にも作れる作物、ついでにコストもかからない作物。なんて都合のいいもの。

いえ、きっとあります。目的は耕地を荒らさないこと、そして土を作ること。食べ物である必要はないし、売り物にする必要もありません。

何を撒くかはこれから考えます。

という相談。

 

もうひとつは、

どうしたら耕作証明をもらえますか?いつ?

私は耕作証明がほしいんです。

 

さて、市役所。

「Yさんはおいででしょうか?」

ご不在でした。だいじょうぶ。翌日も空けてありますから、私。

窓口の職員さんに相談内容を伝え、資料を預け、答えはいただかず、

「また明日まいります」

こういうところは周到です。

私は粗忽な人間ですが、何度も通って覚えた道なら走れます。役所に相談するのはもう、すごく慣れていますから。

 

翌日。再び市役所。

Yさん、どんな方でしょう?怖い人じゃないといいけど。

「○○町の農地の件で伺いました。Yさんはおいでになりますか?」

いらっしゃいました。昨日の方とお二人で、窓口に出てくださいました。

さて、案件①

農地取得の際に申請した作物を変えてもいいですか?

「変えてもいいですよ。何を作るかでお悩みなら、市の農林部で相談にのります」

あっさり。

お隣の方がしっかり伝えてくれていたんですね。ありがとうございます。

 

で、案件②

どうしたら耕作証明をもらえますか?いつ?

農業委員の方は「秋以降、今年の収穫が終わってから。年明けくらいをめどに」と仰っていましたが。

「めど」じゃ不安です。本当に出るんですか?どうしたら?

カウンターに公図を広げます。

115-1(3,058㎡)、115-5(1,273㎡)、100-1(949㎡)、

この3筆で、私は何をすればいいですか?

 

Yさん、マーカーで公図をなぞりながら、

「115-1は5月に耕起したんですね?」

はい。しました。

「8月に草刈りをした?」

しました。夫が少し、姪が少し、手伝ってくれました。

マーカーがくるりと丸を描きます。ひとつ

 

「115-5は荒れていませんね?」

一部分だけ耕作してあります。芋畑の人がじゃがいもを作ってくれています。

残りはきれいな草地です。お弁当持ってピクニックしたくなるような草地です。

雑貨屋のご夫妻が今も手入れをしてくれているんです。

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マーカーがくるりと丸を描きます。ふたつ

 

「100-1は作物が植えてある?」

夏野菜が育っています。ご近所の方が作ってくれています。半分だけ。

「残りの半分は?雑草は生えていませんか?」

昨日、刈りました。

マーカーがくるりと丸を描きます。みっつ

 「では、お出ししましょう」

えっ?

申請書をいただきました。耕作証明書の申請書。返せとか言われないうちにしまいます。

「それでは、家を建てる手続きを始めていいんですか?」

「どうぞ、始めてください」

信じられますか?ミッション2コンプリートです。

 

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雨があがりました。道が拓けました。

収穫をあげる

トマトです。

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オクラです。 

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シシトウです。

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私の畑(小さい方)の作物です。 

ご近所の方の手を借りて作りました。

・・・

正直に言います。

ご近所の方に作ってもらいました。

私は周りをうろうしていただけです。

「次は何をするんですか?」「どうやってするんですか?」

 

「畑を貸してほしい」という申し出がいくつかありました。

野菜づくりを楽しみにされているアマチュア農家の方たちからです。

農地法の決まりがあるのでお貸しすることはできません。

でも、私の代わりに耕作してもらうことはできます。

借地料を受け取って畑を貸すはNG。

委託料を払って耕作を代行してもらうはOK。

借地料は収穫物の一部(お気持の分だけいただきます)、

委託料は収穫物の一部(お好きなだけお取りください)、

なので、実質は変わりません。

あ、「畑を貸してもらってる」とか言っちゃだめですよ。

 

休日の朝、がんばって早起きして畑に行くと、たいてい誰かがいます。

「ハムシが出たんで木酢を撒いています」

は40代の男性。

「モグラが出るのでなんとかしないと」

は60代の女性。

「大変ですね」声をかけると、

「大変です」返ってきます。笑顔と一緒に返ってきます。

 

「キュウリができたんで持って行ってください」

この方には去年もキュウリをいただきました。

「今年のジャガイモはできがよくない」

いえ、みごとなジャガイモですよ。この方は去年雑種地でサトイモを作っていた方です。

 

「家はいつ建つの?」皆さんに聞かれます。

「もう少し先になります」答えます。

「大変だね」皆さんに言われます。

「大変です」応えます。笑顔で応えます。

 

トマト、オクラ、シシトウ、キュウリ、ジャガイモ、トウモロコシ、ナス、インゲン、ネギ、ミョウガ、ができています。

私の畑の収穫です。

用土に苦労する

115番1、面積3,058㎡。

5月に油圧ショベルを入れました。

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ここに用土を入れます。

ブルーベリーは酸性・有機質・水捌けの良い土壌を好みます。針葉樹の端材で良く育ちます。

針葉樹の端材、ふつうは作物の用土には使いません。殺菌作用が強くて、植物の生育を阻害するからです。むしろ、雑草よけのマルチングに有用です。

ですが、ブルーベリーは元々針葉樹帯の堆積土壌の植物です。針葉樹との相性がいいのです。

スギ皮、特に根元の土混じりの部分は廃棄されることが多いので、これを用土に使おうと考えました。

 

「使えるものが手配できたら、運搬と鋤入は引き受けます」

私の土木業者さんが言ってくれました。

「使えるもの」を探します。

ネットで探せばみつかると思ったんですけどね。

あてが外れました。

そういえば、私が頼りにしている土木業者さん、設備業者さん、測量事務所さん、HPとかありません。この方たちとのご縁は、「いい人がいますよ」地元の方が繋いでくれました。

ですが、今回探しているものについては、地元の情報が入りません。

役所の農林課なら判ると思ったんですけどね。

そこでも、「もしかしたら扱っているかもしれません」の業者を1つ、教えてもらえただけです。

 

その、「もしかしたら」のところに行きました。

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木材製造共同組合。は山の中、広大な敷地にありました。辺りいちめん木の匂い。

事務所の方はとても親切で、

「スギの皮を譲っていただけますか?」

いきなり押しかけて頼み事をする私に、

「使えるものがあれば」

施設を案内してくれました。

 

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この、無蓋貨車みたいなのが丸太の皮を剥く機械。手前の山が皮。

これを分けてくださるそうです。量もたっぷりあります。

が、

長すぎます。

手のひらに載るくらいのものがほしのですが、

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この長さだと、畑に鋤き込んだり敷き詰めたりができません。

「もう少し短いものはありませんか?」

ないそうです。破砕する機械もないそうです。残念。

でも、

「知り合いに適当なものを扱っている業者がいるので、話してみましょう」

木材製造共同組合の方、とても親切です。

 

数日後、「適当なものを扱っている業者」さんから連絡がありました。

ざっくり話をしたところ、条件に合う商品をお持ちのようです。

「後日伺います。また連絡をしますので」

言って、電話が切れたのですが。

その、「また連絡」がなかなか来ません。2週間待ちました。こちらから電話しました。

電話の翌日、業者さんは飛んできて、畑と、周りのあちこちを見て行きました。林のスギをまるごと買い取りたいと言いました。用途は薪。

「これだけのスギを持っていれば、昔ならちょっとした財産になったけど、今はだめですよ」

承知しています。

「どこに売ってもこの程度の金額でしょう」

承知しています。

「持っていてもやっかいなだけでしょう」

別にじゃまにはなりません。

切った方がいいのは分かっています。切るときは大事に切ると決めているんです。

という話は、どうやら通じませんでした。

家を建てる場所も、

「ここに建てるのは大変でしょう。あっちにしたら?」

隣の雑種地を勧めてくれます。

いえ、あっちじゃなくてこっちに、建てたいんですよ、私は。

 

とにかく、用途に合う商品をお持ちとのことで、見積をいただくことにしました。115番地の畑全部をいきなり、は無理なので、とりあえず1,000㎡くらいで。

「会社に帰ったら、すぐに見積を送ります」

 

その、「すぐに」が届きません。1か月待ちました。

待ってる間に、私の畑は草叢になりました。

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これでは耕作証明は出ません。

 

もちろん、手をこまねいて待っていた私がいけません。

あてにしていたものがあてにならない。こともあります。

なら、今できること、自分でできることをやりましょう。

 

とりあえず、畑を歩いてみます。

ここは私の畑です。隅から隅まで歩くのは初めてです。

ショベルの作業の跡は凸凹で、ときどき足をとられます。思ったより水捌けは良く、ぬかるみはありません。土の固い所と柔らかい所があって、生えている草も違います。

上の写真、足元に生えているのはエノコログサとかイヌビエとかカヤツリグサとか。あと、場所によってマツヨイグサツユクサヨモギ、スギナもあります。だいたいが素直な草で、怖い草、セイタカアワダチソウヤブガラシはありません。よかった。

で、後ろにあるのは、、、何でしょう?

高さは2mあまり。畑の縁の、ちょっと高い部分に群生しています。

下は5月の写真ですが、

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この左側の、土手のような所に並んでいます。

高さは2mあまり。夏空に向かってまっすぐに立つ姿は逞しく、

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 これは非木材パルプの原料として有望ではないでしょうか?

またはバイオマス発電源として?

ケナフのように?

そしたら私、手に入らない用土を探すのを止めて、エネルギー作物の生産者になります。

なんて、突然湧き上がる期待にわくわくしながら、草の正体を調べます。

 葉の形:掌状、奇数の裂

 葉縁の形:鋸歯

 葉のつき方:対生、長い葉柄

 草丈:2mあまり

で、検索。こういうときはやはりネットです。

判りました。オオブタクサでした。侵略的外来種ワースト100認定。そして、代表的な花粉症の原因植物。

あら、大変。 

 

草薙の剣

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刃は円盤です。動力は2ストロークエンジンです。

これで草を薙ぎ払います。

以前から欲しかったんです。ホームセンターに行く度に眺めていました。

指を飛ばしたとか、失明したとか、怖い話がいっぱいあるので、私に使えるかどうかが判らないので、買うのをためらっていました。

使えるかどうかは、使ってみなければ判りません。

オオブタクサには花穂が見られます。開花まであと数日といったところ。ためらっている暇はありません。

買いました。刈りました。

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全部、薙ぎ払いました。

ついでに、

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115番1、全部刈りました。

 

草刈りをしている間に、いろいろ考えたことがあります。感じたことがあります。

それはまた、書きましょう。

網戸のない家に侵入するもの、しないもの

この家、網戸がありません。

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北の窓です。いかにもヤブ蚊が襲来しそうな景色です。

 

網戸、高いんですよね。

設置すべき場所全部に設置した場合の費用(材料費)を試算しました。10万円超でした。

設置箇所を1/3くらに厳選してなんとか、と算段しましたが、どうやって取り付けるんですか?網戸って外から付けるんですよね。面格子どうするんですか?

締め切っておけばいいって?

でも、私は開けっ放しが好きなんです。

 

2階はもっとめんどうです。

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このフェンスの耐久性が不明。荷重かけたらもげそうな気がするんですよ。

フェンスに体重かけずに屋根に下りて、また戻ってくる方法が思いつきません。

 

と言っているうちに、7月も終盤。開けっ放しで生活しています。

開けっ放しなので、ときどき何か入ってきます。

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びっくりしましたよ。振り向いたらいるんですもの。

 

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なかよし?

 

と、

ご近所の犬が自由に出入りする家ですが、虫はあまり入ってきません。

 

蚊取り線香を使っています。蚊取り線香の匂い、昔から好きです。

と思ったけど、なんか違いますね。昔のものとは成分が違うようです。

残念だけど、これだと長い時間は使えません。短く折って、短い時間だけ使っています。

で、開けっ放し。

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すだれで虫の侵入を防ぐことができます。コガネムシとか、大きい虫の。

目隠しもできます。昼間なら。

電気をつけると、御簾の奥の姫君の姿は隠せません。

 

なぜ虫が入ってこないのか、の謎を解くために、調査を実施しました。

サンダルをはいて、玄関を出て、10歩歩くと草叢です。

更に30歩歩いて、横手に回ってみました。

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なるほど。

地面に広がっているのはドクダミです。奥に立っているのはヨモギです。ところどころにペパーミントもあります。

ここはそういう草叢です。

 

南側はどうでしょう?

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以前、庭の手入れをすると宣言しましたが。

すみません、これが私の手入れの結果です。

アレチウリとイラクサとクズを刈りました。車の荷台いっぱい刈りました。

あと、名前の分からない蔓、雨樋と紫陽花をがんじがらめにしてるのを刈りました。

他は気にならないので放ってあります。ヨモギが元気です。

 

以上で調査は終了。謎は解けたと思います。

 

アレロパシー

植物が放出する化学物質が、他の生物に阻害的、あるいは促進的な何らかの作用を及ぼす現象アレロパシー(他感作用)といいます。

セイタカアワダチソウは地下茎から他の植物の成長を阻害する物質を放出し、あっというまに一面に広がります。アルファルファ、クローバー、ムギ、ソバなどにもこの作用がみられます。

虫媒花は甘い匂いで虫を呼び、針葉樹は清々しい香りに殺菌成分をのせています。

マリーゴールドを畑の近くに植えると、食害虫を作物から遠ざけてくれます。

ヒガンバナの根には毒があるので、モグラやネズミを忌避するために田の畦に植えられました。

ハーブはその匂いに病害菌や食害虫からの防御成分をのせていることが多いのですが、ドクダミヨモギ、ペパーミントは強いアレロパシーを持つハーブです。

 

いえ、前から知っていたわけじゃありません。最近調べて知ったんです。アレロパシーという言葉もね。

この家の庭にヨモギが繁茂してるのも、ですから、ただの成り行きです。気にならないから放っておいたというだけの。

「家の周りに虫除けハーブを植えたけど、ちっとも効果がなかった」という話を聞きますが。

どこに違いがあるのかは判らないけど、この家はハーブに守られているのだと思います。「植えた」んじゃなくて「勝手に生えてる」草だから、あらたかな力があるのかも。

だって私、網戸のない家で、草ぼーぼーの庭で、開けっ放しで生活してるんですよ。

それで、虫に刺されないんですよ。

 

ということで、網戸はないままです。

ご近所の犬が入ってきて、人の後をついて歩きます。

そしてこうなります。 

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「下りられないなら、上るな」

 

ところで、その辺に勝手に生えてる草や木。

黙ってそこに在るだけの存在だけど、黙って蹂躙されているつもりはない、という在り方。

めちゃくちゃカッコいいですね。