風情のある廃屋を持ちたいと思います
この土地が荒れている、って書いたけど、
何度も通ううち、それほどでもないんじゃ、って思うようになりました。
いえ、荒れてます。特に建物。
廃屋は嫌いじゃありません。いっこ持ってみたいです。
こんなのがいいです。
うちの廃屋はね、風情がないんです。
ブルーシートとか張ってあるんですよ。ガムテープとかで。
でもって、中になんか詰まってるんです。
好みに合いません。
でも、うちの廃屋に風情がないのは所有者のせいなので、これはまあ、しかたないです。
いえ、所有者がブルーシート張ったわけじゃないです。だったら剥がします。
なんと、この家には借り手がいるんです。10年ほど前から貸してあります。敷地ごと。
中に物を詰めたり、敷地に廃車を置いたのは借り手の人で、
借り手の人は賃借権に基づいてそうしているので、
風情のない使い方をしたければそうする権利があるんです。
権利を与えたのは貸主です。
借地借家法という法律があります。その定めるところによると、
建物賃貸借は継続が原則で、期間満了しても契約が続く
貸主が契約終了を希望しても、貸借人が拒否すれば貸し続けなければいけない
貸主が契約の更新を拒絶するためには、「正当事由」が必要
ということなっています。
おそろしい法律です。
好みに合わない、は正当事由になりません。
うちの廃屋からブルーシートを取り払い、風情のある廃屋にする、
というミッションが、容易に達成できるものではない、ことがお判りでしょう。
達成します。
好みに合わない、は正当事由になりませんけど、なにしろ築107年ですからね。
「安全上問題がある」ので「危険の状態を調査する」。これならいけます。
「もう暫く貸してほしい」借り手の方はおっしゃいますが、
申し訳ありません、お貸しするわけにはまいりません。
契約は1年後に終了します。
ブルーシートを剥がします。