タイサンボクが咲きました

何年も花をつけなかった木です。

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タイサンボクが咲きました。

 

ひとつめ

6月、父の誕生日に咲きました。

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父に写真を送ったら、お礼を言われました。

「ありがとう」

写真の、じゃなくて、花のお礼。

「カツキチじいさまも喜んでいる」

 

「カツキチじいさま」は93番地の家を建てた人。父の曽祖父、私の高祖父です。

この地に住んで、お酒をつくったり、薬をつくったりしていました。

ここには昔、いろんな薬草が植えられていました。

そういえば、タイサンボクも薬の木。

父が生まれた頃に植えられました。

私の高祖父が植えました。

 

タイサンボク

花が咲くまで何年もかかる木です。

ある年最初の花が咲き、それから何十年も咲き続けてきました。

それが、この数年咲かなくて。

 

日照を好む木です。

人が住まなくなった山で、荒れてしまった山で、咲く気をなくしていたのでしょう。

 

その花が咲きました。

これは、つまり、私へのご褒美です。

と思うのです、私。

 

 

タイサンボク

とても大きな花です。

カレーを食べるお皿のサイズ。

色は陶器のような白。

とてもいい匂いがします。

 

 

みっつめ

7月、タイサンボクが咲きました。

「おや、まだ咲くの?」

先の開花から2週間ほど経っています。

それが、夫の誕生日で。

 

写真を夫に送ったら、

「このオレンジ色の花?」

返ってきました。

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ごめん、それ、枯れかけてるの。

 

夫の誕生日は雨で、花はすごく高い枝の先にあって、私はまともなカメラを持っていなくて、

つまり、写真が撮れませんでした。

これは後から撮った写真。

 

タイサンボク

2日、白い色で咲きます。

3日目には色を変え、4日目に散ります。

花はとてもいい匂い。香水の原料になります。有名なのがゲラン。

 

 

ところで、ふたつめ

ひとつめが父の、みっつめが夫の誕生日に咲いたので、

では、ふたつめは?

これも誰かの誕生日?

なんて偶然が、

 

ありました。

こじつけみたいに記憶を浚ったら、

 

覚えていたのが不思議です。

不思議なことに覚えていました。

あの日は、あの人の誕生日。

 

最後に会ってから随分経ちます。

この先会うことは多分ありません。

とても大切な人ですが。

 

そんな人を、思い出してしまいました。

白い、大きな花のせいで。

 

 

タイサンボク

今日も咲いています。

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今日も誰かの誕生日でしょうか?

かつて出会った誰かの?

これから出会う誰かの?