倒れた木
夫が見つけました。
「これ、どうしたの?」
えっ?
「いつからここにあるの?」
ええっ?
スギが倒れています。まだ青い葉の。
いえ、全然気づきませんでした。
いつから?
それに、
どうしたらこうなるの?
この木が
こう、倒れるなら判ります。
どうしたら、こうなるの?
という謎を指摘して、発見者は東京に帰って行きました。
残った私は謎を解かなくてはなりません。
ところで、
目の前にこんな物があるのに、なんで気づかないの?私?
というのも謎ではあります。
同居人に聞いてみます。
「これ、見て」
「何これ?なんで倒れてんの?いつから?」
謎が増えました。
目の前にこんな物があるのに、なんで気づかないの?姪?
もう少し、頼りになる人に聞きます。
土木屋さん。この土地のことは私より知っています。
「前は無かったよ。誰かが置いてったんじゃない?」
確かに。ご家庭でご不要になった洗濯機とか、冷蔵庫とか、
置いていく人がいます。
風呂桶とか、
カヌーみたいなタンクらしいのとか、
置いてあります。
いちばん困ったのはガラ袋いっぱいの建築廃材で、
運び出すには重機が必要でした。
運び込んだ人も重機を使ったはずですね。
建築廃材の処分費用を払いたくなかったのでしょうね。
私が払いましたよ。1万円強でしたよ。
でも、この木は違うと思います。
こんな重くて長い物、小型のショベルと2トン車では運べません。
ご自宅にある小型ショベルと2トン車で、ちょっとその辺に捨てて来るってわけにはいかないです。
これを運ぶにユニッククレーンとかが必要でしょう?
ユニッククレーンとか持ってる人なら、チェーンソーくらい使えるでしょ?
チェーンソーが使えるなら細断して燃えるごみの日に出せるでしょ?
薪にしたら売れますよ?
3日ほど考えました。
ある朝、何か気がかりな夢を見て、起きた時にひらめきました。
木はこう倒れて、
こう寝たの。
いかが?
検証のため、林の調査に赴きます。
その辺に倒れた木の根っこがみつかれば、謎の一つは解決。
根っこ、みつかりませんでした。
林の中は視認性は悪いです。あるものが見えるとは限りません。
代わりにこんなのをみつけました。
こんなのも。
なんだ、倒木とか珍しくないんだ。
いちいち心配して損した?
でも、これは心配かも。
姪「なんか、きいきい言ってるよ」
私「言ってるね」
姪「なんか、動いてるよ」
私「動いてるね」
上下に揺動。
姪「ヘルメットがいるね」
私「脚立とロープも」
林業用の三点支持の脚立が欲しいです。高価なので買えずにいます。ロープはあるけどロープワークはできません。練習が必要。
私「準備ができたら対処しましょう」
で、その辺を歩いて戻ってきたら、姪が長い棒を持って真下に立っているじゃないですか。何をする気だ?
私「準備もなしにいじったら危ないから」
棒を取り上げます。
私「やるんならこうでしょ」
つついたら、めきっ、真ん中から折れて落ちました。
まだ半分残ってるけど。
とりあえず、保険に入ることにしました。
この家、保険に入ってないんですよ。ローンを組むなら必須の火災保険、にも入ってないの。
住宅の保険は自動車保険より手続き面倒、ですね。ネットが不自由だとすごく不自由。でも頑張りました。火災、風災、地震保険を申し込みました。
質問「周りの木が倒れて家が壊れたら、補償の対象になりますか?」
回答「地震や台風で倒れた場合は補償します。枯れ木が自然に倒れた場合は補償できません」
ですって。
枯れ木が台風で倒れたときはどうなるのかな?
とりあえず、加入。